荒瀬ダムは、かつて熊本県八代市坂本町葉木荒瀬にあったダムです。
2012年(平成24年)からダムの撤去工事が始まり、2018年(平成30年)に撤去が完了しています。

荒瀬ダムの建設
荒瀬ダムは、電力供給不足の中、水力発電用のダムとして計画されました。
1953年(昭和28年)に着工し、1955年(昭和30年)に竣工しました。

発電目的のダムとしては、県内で最初のダムでした。
藤本発電所では、年間74百万kwを発電し、1億円の収益を上げていました。
荒瀬ダムの撤去
公共工事見直しの流れの中、2003年(平成15年)に水利権更新の時期を向かえました。
当時の坂本村では、放水時の振動被害が発生していました。

また、過去の洪水被害が、ダムにより大きくなったとの不信感を抱くものもいました。
そのため、旧坂本村議会では、荒瀬ダム撤去の要望が高まっていました。

2002年(平成14年)、村議会はダム撤去を求める請願を、事業主体である熊本県に提出しています。
これを受けた熊本県では、荒瀬ダム撤去の決断をしています。

熊本県は、7年間に限定して水利権を更新しました。
2012年(平成24年)からダムの撤去工事が始まり、2018年(平成30年)に撤去が完了しています。

国内における初めての本格的なダム撤去事例となっています。
ビフォーアフター

在りし日の荒瀬ダムです。

竣工当時の荒瀬ダムです。

荒瀬ダム撤去前の航空写真です。

荒瀬ダム撤去後の航空写真です。

撤去後の荒瀬ダム跡です。
諸元
| 名称 | 荒瀬ダム |
| 場所 | 熊本県八代市坂本町葉木 |
| 水系 | 球磨川 |
| 河川 | 球磨川 |
| 型式 | 重力式コンクリート |
| 事業者 | 熊本県 |
| 施行者 | 西松建設 |
| ダム湖 | – |
| 目的 | 発電 |
| 最高出力 (発電) | 18,200kw |
| 堤高 | 25.0m |
| 堤頂長 | 210.8m |
| 堤体積 | 47千㎥ |
| 流域面積 | 1,721㎢ |
| 湛水面積 | 123ha |
| 総貯水容量 | 10,137千㎥ |
| 有効貯水容量 | 2,420千㎥ |
| 着手/竣工 | 1953/1955 |
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