「かまのくど?」って何?と思われる方がおおいかもしれません。
「かま」は標準語ですね。
今はあまり使わないかもしれませんが、昔ごはんを炊くときに使っていた道具です。
「釜めし」とかがこんな器で、出てくる時がありますね。
「くど」というのはこの地方の方言です。
「かまど」のことです。
「くどに薪ばくべて」(かまどに薪を燃やして)ご飯を炊いていました。
こんなイメージのやつです。
つまり「かまのくど」というのは「かまど」のことです。
ポットホール
記事にする「かまのくど」は、実際の「かまど」のことではありません。
かまどに似た岩のことを指します。
川にある岩の上のくぼみに、石や砂が入り込むと水流で回転し始めます。
ながーい年月をかけて、丸くて深い穴を作ったものです。
専門用語でいうと、ポットホールとか甌穴(おうけつ)というそうです。
加久藤火山
今から30万年も前 、まだ、九州が大陸と陸続きになっていて、人がまだ住んでいなかった時代の話です。
人吉市とえびの市の境界あたりに、加久藤火山というのがありました。
加久藤火山が噴火し、大火砕流が起きました。
一帯のあらゆる生き物は壊滅したといわれています。
30万年も前の火山活動と火砕流の痕跡が凝灰岩の形で残っている典型が、鹿児島県伊佐市大口の「曽木の滝」といわれています。
曽木の滝ほど大規模ではありませんが。人吉球磨でもその痕跡が見られます。
そのひとつが「かまのくど」なのです。
釜の奥戸(かまのくど)
「かまのくど」があるのは、球磨川水系の鳩胸川なのですが、このあたりは断層による陥没が起きずに、堆積物が上に積もっていないといわれています。
そのため、30万年も前の火山活動の痕跡を見ることができます。
かまのくどの素材は、加久藤カルデラから噴き出した溶岩と火山灰が一緒に固まった溶結凝灰岩です。
普通の岩石とくらべ柔らかいため、水による浸食を受けやすくなっています。
川の水といっしょに流れてくる石や砂が、凝灰石のくぼみに入り回転して穴を作ったのだそうです。
それは、自然の偶然によって30万年もかかってできあがったものです。
火山活動、川の浸食、ほどよい年月のどれが欠けても見ることができません。
鳩胸川でも、見られるのは、このあたり500mだけです。
岩盤の底まで浸食が進むと、すべて川に流されてしまいます。
かまのくどは、道の駅人吉のキャンプ場の近くになります。