谷水薬師というのは、熊本県球磨郡にある古寺です。
「入口の上村氏墓地」「山門の仁王像」「裏山の麓城跡」とあわせて、あさぎり町の歴史スポットです。
日本七薬師のひとつ
奈良時代に諸国を廻り、薬師如来のお告げを受けて仏堂を建てたという伝説を持つ行基菩薩(ぎょうきぼさつ)。
谷水薬師のご本尊や薬師如来は、この行基の作品といわれています。
1557年には兵火にかかり、1897年(明治30年)にも失火により全焼していますが、焼失するたびに再建されています。
現在の本堂は1899年(明治32年)に建てられたものです。
日本遺産人吉球磨
谷水薬師堂入り口にある、上村氏墓地と谷水薬師堂の裏山にある麓城跡は、かつてこの地を治めた上村氏の遺跡です。
2017年(平成29年)、これらをまとめて上村相良氏関連遺跡として、「日本遺産人吉球磨地域」の49番目の構成文化財として追加されています。
谷水薬師堂も同時に「日本遺産人吉球磨地域」の51番目の構成文化財として追加されています。
中世に栄えた歴史スポットです。
病気治癒にご利益
谷水薬師の山門の左右には2体の仁王像が安置されています。
山門へ渡る仁王橋です。
「仁王像」に噛んだ紙つぶてを投げつけ、自分の病んでいるところにくっつくと病気が治るといわれています。
向かって右側が 女性用の 「阿」(ア)像です 。
左側が、男性用の「吽」(ウン)像です。
投げる紙は置いてありませんので、あらかじめ用意しておく必要があります。
本堂裏手に湧き出る水は「月光水」と呼ばれ、地元では昔から病の治療のための水として知られています。
「月光水」へ行くには、本堂の向って左側を裏手へまわります。
2体のご本尊
谷水薬師のご本尊は、江戸時代に造られた高さ1メートルほどの木造の薬師如来像です。
昔は6体の薬師如来像がありました。
1897年(明治30年)の火事の際、そのうち1体から一寸八分(約5.45cm)の黄金像がみつかりました。
この秘仏といわれる黄金のご本尊をはじめ、如来像を見ることができるのは、年4回だけです。
旧暦1月8日 |
春の彼岸の中日 |
秋の彼岸の中日 |
土用の丑の日 |
谷水薬師の本堂裏手にある麓城(上村城、亀城)跡
本堂の裏手には、中世の城跡があります。
鎌倉時代 (1185年頃 – 1333年) には、この地の豪族、上村氏が城主でした。
麓城(上村城、亀城)とよばれ、南北朝時代 (1333年頃 – 1392年)になると、この地が相良氏の領地となったことから、人吉城の支城として使われています。
城主には相良一族の庶家となった上村氏が配されました。
ところが、上村家第14代頼孝は、宗家の相良義陽に対し反乱を企てたことで、1567年に没落しています。
この時、谷水薬師は兵火にあったとされています。
以後、相良氏の庶家である犬童氏が城主となっています。
城跡までは谷水薬師の遊歩道入り口から歩いて15分ほどかかります。
城跡周辺は紅葉が有名です。
例年は11月中旬から下旬が見ごろとなります。
上村氏墓地は駐車場のすぐそば、谷水薬師の入り口の左側にあります。
麓城跡を見た後、かつての城主を偲びお参りできます。
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