長谷観音は、宮崎県西都市三納にある長谷寺のご本尊です。
奈良時代に開山した歴史あるお寺ですが、幾度の受難を乗り越え観音さまが残っています。
初瀬山長谷寺
長谷寺というのは、717年に、徳道上人が諸国行脚の途中に、この地に開山したお寺です。
徳道上人は、大和国（現在の奈良県）初瀬山（はせやま）の長谷寺の僧侶でした。
開山した際、長谷寺には立派な三尊像が、ご本尊として安置されました。
| ご本尊 | 十一面観世音 |
| 脇侍 | 聖観世音 |
| 脇侍 | 勢至菩薩像 |
大永の大火
1552年(大永2年)に長谷寺は大火に見舞われています。
この時、宝物と古文書のほとんどが焼失してしまいました。
しかし、不思議なことに三尊像の頭部だけは無傷で残ります。
大火後、三尊像は当時の日向国領主、伊東氏により復元されています。
以後、長谷寺は伊東氏の祈願所として栄えることとなります。
廃仏毀釈で廃寺に
1572年、木崎原の戦いで伊東氏が島津氏に敗れると、伊東氏は次第に衰退していきます。
日向国が島津氏の支配下になるとともに、長谷寺の勢いもなくなってしまいました。
さらには、明治時代に入ると廃仏毀釈により、廃寺となりました。
しかし、1878年(明治 11 年)には、地域の方々により再建されています。
枕崎台風による受難
ところが、1945年(昭和20年)、長谷寺は再び災害に見舞われます。
枕崎大風による風雨で、本堂が倒壊してしまいました。
こときも、不思議なことに三尊像の頭部だけは無傷で残りました。
現在残るお堂は、1991 年(昭和56年)に建替えられたものです。
三尊像は長谷寺開山から1300年もの間、この地に息づいています。
関連記事
【関連記事】都萬神社 古来のパワーを現在に伝える日向国二の宮