長谷(はせ)ダムは、宮崎県西都市にある重力式コンクリートダムです。
福岡市に同名のダムがありますが、福岡市のダムは長谷(ながたに)ダムと読みます。
この記事は、一ツ瀬川系三納川にある長谷(はせ)ダムについて書いています。
名称は長谷観音にちなむ
三納(みのう)の集落から三納川をさかのぼります。
初春に行くと、ところどころにヤマザクラが咲いています。
ダムのあたりまで人家があり、交通の難所はありません。
この地域には、奈良時代に長谷寺が建てられています。
昔から人の手が入っていた山であることがわかります。
長谷ダムという名称も、長谷寺のご本尊・長谷観音にちなむものです。
管理所が建つ場所に注目
道より河川側に管理所があります。
それ自体は珍しくありません。
ただ、天端をまたぐ管理棟は、はじめて見ました。
麓からのアクセスを考えると、管理棟は左岸に置く以外考えられません。
ダム本体のすぐ上流側の岩盤が、河川側にはみ出しているためこうなったのでしょう。
ダムの概要も立派な石造板にほってあります。
長谷ダムに対する洪水調整の期待度がわかりました。
ダム本体
宮崎県らしくソテツが生えていますが、自生ではなく植栽です。
放水しているような音が聞こえています。
しかし、導水路に水はみえません。
コンジットゲート(堤体下部の放流管ゲート)から放水している音でした。
オリフィスゲート(堤体中部のゲート)はローラー式です。
クレストゲート(堤体上部のゲート)は、自然流水式です。
付帯設備
事務所が開いていました。
新型コロナウイルス感染防止のためか、ダムカードは外に置かれています。
「記録表に名前と枚数書いて、持って行ってネ」という感じです。
角度で見えませんでしたが、あとコンジットにラジアルゲートが1門あるようです。
予備電源棟です。
車庫&倉庫棟です。
平常時は通勤されるのかもしれませんが、管理棟群は常駐前提の造りです。
左岸上流は、このUターン場所で行き止まりです。
釣りができそうな場所はありません。
竣工当時はダム本体がよく見えていたであろう場所も、木が茂っています。
長谷ダムは、洪水調整だけでなく、河川維持も重要な役割です。
雨が降る時期は、貯水率を下げます。
しかし、雨が降らない時期は、渇水に備え貯水率を上げます。
諸元
名称 | 長谷(はせ)ダム |
場所 | 宮崎県西都市大字三納字尾田所11693-11 |
水系 | 一ツ瀬川 |
河川 | 三納川(みのうがわ) |
型式 | 重力式コンクリート |
事業者 | 宮崎県 |
施行者 | 大林組・大和開発 |
ダム湖 | - |
目的 | 洪水調節/河川維持用水 |
最高出力 (発電) | - |
堤高 | 65.0m |
堤頂長 | 143.0m |
堤体積 | 128千㎥ |
流域面積 | 11.8㎢ |
湛水面積 | 14ha |
総貯水容量 | 2,250千㎥ |
有効貯水容量 | 1,650千㎥ |
着手/竣工 | 1970/1981 |
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