神瀬(こうのせ)石灰洞窟は、熊本県球磨村にある鍾乳洞のひとつです。
人吉球磨地域唯一の国名勝となります。
洞窟内には、岩戸熊野座神社が鎮座しています。
日本最大の洞口
注目すべきは入り口の大きさです。
幅45m、高さ14mの洞口は日本最大です。
奥行きは70mです。
奥はすり鉢状になっていて、「御池」とよばれる池になっています。
残念ながら、御池は崩落があってからは、立入禁止です。
名勝とは?
江戸時代にかかれた「領内名勝図鑑」には、「神瀬の岩屋」として描かれています。
昔から名称地だったことがうかがえます。
現代の名勝は、芸術上や風景上、価値が高い土地で、国や県の指定を受けたものをいいます。
日本の文化財のひとつです。
神瀬石灰洞窟は、人吉球磨地域で唯一の国指定名勝です。
熊本県内の国指定名称は次の通りです。
- 阿蘇の米塚
- 八代の松浜軒
- 熊本の水前寺趣園
- 八代の水島
- 天草の妙見浦
どうやったらこうなるの?
神瀬石灰洞窟は、人工的に掘られた洞窟ではありません。
大昔にできた石灰岩地層に、長い年月をかけてできあがった鍾乳洞です。
石灰岩は、炭酸カルシウムという成分を含んでいます。
岩肌白っぽく見えるのは、この成分です。
まず、雨水が断層に沿って、石灰岩の層にしみこみます。
雨水は弱酸性なので、すこしづつ石灰岩を溶かします。
本当に長い年月をかけて、石灰岩に空洞ができあがります。
空洞の上から水滴が落ちるところに、鍾乳石が形成されます。
神瀬石灰岩洞窟の石灰岩層は、2億3千5百万年前から1億4千3百万年前にできたものと考えられています。
岩戸熊野座神社
室町時代には、洞窟の中に厳竜寺という寺院があり、すでに霊場となっていました。
廃寺となった後、1578年に社殿が造営されたのが、岩戸熊野座神社です。
地元では「岩戸さん」とよばれています。
縁結びの神様として知られます。
ご祭神
熊野三社権現を勧請しています。
- 伊邪那美命(いざなみのみこと)
- 速玉男命(はやたまおのみこと)
- 泉事解男命(よもつことさかおのみこと)
以上、三柱がご祭神です。
長命水
その名の通り、飲むと長生きするといわれています。
神瀬石灰洞窟を正面に見て、右側の奥が湧水地です。
上水道が整備される前は、地元の方は生活用水として使っていました。
「神様の水」といって大切にしてきました。
地下で石灰岩洞窟の奥にある「御池」と地下でつながっているといわれています。
イワツバメ
神瀬石灰洞窟の中には、イワツバメが住んでいます。
その数は、数百羽といわれています。
昔から、イワツバメを捕まええると、災害や疫病が流行するといい伝えられており、地元で大切にしてきたためといわれています。
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