日南ダム 九州唯一の半円形常用洪水吐

日南ダムは、宮崎県日南市酒谷にある、宮崎県営ダムです。

日南ダム

道の駅酒谷の近く、国道222号線沿いにあります。

特徴的なオリフィスゲート

ダム本体の上の方にあるゲートをクレストゲートといいます。

一方、ダム本体の下の方にあるゲートを、コンジットゲートとよんでいます。

日南ダムの下流部

ダム本体の中ほどの高さにゲートがあるダムがあります。

この中ほどにあるゲートを「オリフィスゲート」とよんでいます。

日南ダム上流部

日南ダムのオリフィスゲートに注目です。

日南ダムの円形常用洪水吐

ダムの上流部に、半円形の穴があいていて、水が落ちるようになっています。

日南ダムのクレストゲートとオリフィスゲート

日本語で表現すると、常用洪水吐となります。

日南ダムの下流からみた導水部

発電用にコンジットゲート(ダム本体の下の方にある取水門)から取水し、残った水を貯水します。

酒谷発電所

常時満水位を超えると、半円形常用洪水吐から自然に越流するしくみです。

酒谷湖の記念碑

半円形の常用洪水吐は、滋賀県の青土ダムや、岡山県の鳴滝ダムが有名です。

洪水吐の映像は8:00くらいです

水が流れ落ちる光景が美しいダムとして紹介されています。

洪水吐の動画は0:40くらいです

九州で見られるのは、この日南ダムくらいです。

よほどの渇水期でない限り、常用洪水吐からの自然越流を日常的に見ることができます。

冒頭から洪水吐の動画です

個人的には、日南ダムの洪水吐がいちばん大きくてきれいだと思っています。

酒谷湖の自然越流式クレストゲート

ちなみに、クレストゲート(ダム本体の上の方にある洪水吐・非常用洪水吐)も自然越流式です。

待望のダム

ダムの目的は、洪水調整と発電です。

酒谷発電所

酒谷発電所の出力は、520kwと小規模なものなので、主目的は洪水調整です。

酒谷発電所説明板

1961年(昭和36年)の台風の時、下流の市街地で大洪水がおきました。

日南ダム 下流からの遠景

その後も、酒谷川下流ではたびたび洪水が発生していました。

日南ダム 下流側

1968年(昭和43年)に日南ダム建設に着手し、17年後の1985年(昭和60年)に運用が開始されました。

日南ダム下流側近景

長い年月と115億円の経費を使って造られた、下流域の住民にとって待望のダムです。

日南ダム管理所

しかし、自然越流式の洪水吐でどうやって洪水調整するのだろう?

と思いました。

日南ダムの洪水調整の概念図
宮崎県県土整備部河川課 日南ダム

しくみは、小さな穴の開いたバケツに例えられます。

バケツに一気に水を流し込んでも、小さな穴から少しづつしか水は流れ出しません。

ダム管理所玄関

今までは上流で大雨が降ると、一気に増水して下流におしよせ洪水になっていました。

日南ダムの石標

ダム完成後は、日南ダムがバケツの役割をはたし、小さな洪水吐からすこしづつ水を流すということです。

まとめ

日南ダムの美しい常用洪水吐は一見の価値があります。

宮崎県の南端ですので、わざわざダム見学のために行く人は少ないと思います。

日南ダム 堤頂部

しかし、周辺には飫肥城をはじめ、たくさんの観光施設があります。

国道222号線で、道の駅酒谷にお立ち寄りのさいは、日南ダムも訪れてみることをおススメします。

酒谷湖

きっと、ダムに興味のない同行者にも楽しんでいただけます。

諸元

酒谷湖の水草
名称日南ダム
場所宮崎県日南市酒谷甲1746-1
水系広渡川(ひろとがわ)
河川酒谷川(さかたにがわ)
型式重力式コンクリート
事業者宮崎県
施行者飛鳥建設・志多組
ダム湖酒谷湖
目的洪水調節/発電
最高出力
(発電)
520kw
堤高47.0m
堤頂長189.0m
堤体積191千㎥
流域面積59.2㎢
湛水面積41ha
総貯水容量6,000千㎥
有効貯水容量4,640千㎥
着手/竣工1968/1984

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