日南ダムは、宮崎県日南市酒谷にある、宮崎県営ダムです。
道の駅酒谷の近く、国道222号線沿いにあります。
特徴的なオリフィスゲート
ダム本体の上の方にあるゲートをクレストゲートといいます。
一方、ダム本体の下の方にあるゲートを、コンジットゲートとよんでいます。
ダム本体の中ほどの高さにゲートがあるダムがあります。
この中ほどにあるゲートを「オリフィスゲート」とよんでいます。
日南ダムのオリフィスゲートに注目です。
ダムの上流部に、半円形の穴があいていて、水が落ちるようになっています。
日本語で表現すると、常用洪水吐となります。
発電用にコンジットゲート(ダム本体の下の方にある取水門)から取水し、残った水を貯水します。
常時満水位を超えると、半円形常用洪水吐から自然に越流するしくみです。
半円形の常用洪水吐は、滋賀県の青土ダムや、岡山県の鳴滝ダムが有名です。
水が流れ落ちる光景が美しいダムとして紹介されています。
九州で見られるのは、この日南ダムくらいです。
よほどの渇水期でない限り、常用洪水吐からの自然越流を日常的に見ることができます。
個人的には、日南ダムの洪水吐がいちばん大きくてきれいだと思っています。
ちなみに、クレストゲート(ダム本体の上の方にある洪水吐・非常用洪水吐)も自然越流式です。
待望のダム
ダムの目的は、洪水調整と発電です。
酒谷発電所の出力は、520kwと小規模なものなので、主目的は洪水調整です。
1961年(昭和36年)の台風の時、下流の市街地で大洪水がおきました。
その後も、酒谷川下流ではたびたび洪水が発生していました。
1968年(昭和43年)に日南ダム建設に着手し、17年後の1985年(昭和60年)に運用が開始されました。
長い年月と115億円の経費を使って造られた、下流域の住民にとって待望のダムです。
しかし、自然越流式の洪水吐でどうやって洪水調整するのだろう?
と思いました。
しくみは、小さな穴の開いたバケツに例えられます。
バケツに一気に水を流し込んでも、小さな穴から少しづつしか水は流れ出しません。
今までは上流で大雨が降ると、一気に増水して下流におしよせ洪水になっていました。
ダム完成後は、日南ダムがバケツの役割をはたし、小さな洪水吐からすこしづつ水を流すということです。
まとめ
日南ダムの美しい常用洪水吐は一見の価値があります。
宮崎県の南端ですので、わざわざダム見学のために行く人は少ないと思います。
しかし、周辺には飫肥城をはじめ、たくさんの観光施設があります。
国道222号線で、道の駅酒谷にお立ち寄りのさいは、日南ダムも訪れてみることをおススメします。
きっと、ダムに興味のない同行者にも楽しんでいただけます。
諸元
名称 | 日南ダム |
場所 | 宮崎県日南市酒谷甲1746-1 |
水系 | 広渡川(ひろとがわ) |
河川 | 酒谷川(さかたにがわ) |
型式 | 重力式コンクリート |
事業者 | 宮崎県 |
施行者 | 飛鳥建設・志多組 |
ダム湖 | 酒谷湖 |
目的 | 洪水調節/発電 |
最高出力 (発電) | 520kw |
堤高 | 47.0m |
堤頂長 | 189.0m |
堤体積 | 191千㎥ |
流域面積 | 59.2㎢ |
湛水面積 | 41ha |
総貯水容量 | 6,000千㎥ |
有効貯水容量 | 4,640千㎥ |
着手/竣工 | 1968/1984 |
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