高鍋大師(たかなべだいし)というのは、宮崎県高鍋町にある石像群です。
完成度は別として圧倒的存在感があり、いまや高鍋町の一大観光資源となっています。
プロローグ
入口の方の八十八ヶ所の仏像を見ると、何の違和感もありません。
いっしょに彫ってあるお経は、素人感のあるひらがななのですが・・・
前評判と違い、高い完成度に見えます。
このあたりから、作風が違ってきます。
中に入ってみると様子が一変します。
クオリティは?
石像のクオリティなのですが、ハッキリいって素人目から見てもビミョーです。
大きな像は、スチール製のつっかえ棒で支えられています。
仏像だけではなく、にわとりの石像があります。
ダチョウ・・・
「みとこモん」って、となりに「すけさん」と「かくさん」いますから絶対水戸黄門です。
中途半端な完成度で、作品の愛嬌もないとミステリー感が出てしまいます。
しかし、高鍋大師の石造群は、神仏像でありながら陽気なキャラクター感がにじみでています。
逆にその素人感が受けて、人気が高まったスポットです。
地元では親しみを込めて「おだいっさん」とよばれているようです。
いまや、町をあげて観光資源としてPRしています。
なんと、エッセイ&写真集まで発売されています。
景観地
高鍋大師は小高い丘の上にあり、小丸川の河口を見下ろす景観地にあります。
さらには、高鍋の町と日向灘が見えます。
道中の道幅は狭いものの、丘の上には広々とした駐車場が整備されています。
さらに、持田古墳一帯となる花守山の観光開発は、これから進められる予定です。
宮崎県観光遺産に選定されるなど、最近は県もPRに一役買っています。
ちなみに、高鍋町のゆるキャラは「たか鍋大使くん」です。
たか鍋大使くん 公式ブログ
もちろん高鍋大師の「十一面くわんのん」がモデルです。
岩岡保吉さん
驚くのは、このたくさんの石造群がたった1人で造られていることです。
しかも彫像したのは、僧侶でも石工でも仏師でもありません。
町内で米穀店を経営していた、岩岡保吉さん(1889~1977)でした。
四国八十八箇所を巡礼していた岩岡さんは、高鍋八十八箇所を建設することを決意しています。
場所は持田古墳のなかですが、もともと岩岡さんの所有地ではありませんでした。
古墳群の盗掘に心を痛めた岩岡さんが、私財を投じ用地を購入しています。
時は1933年(昭和8年)、このとき岩岡さんは43歳でした。
土地の造成からはじまり、生涯の間に700体を超える石像を造られたことに、さらに驚かされます。
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