熊本県の南東端、球磨郡多良木町槻木(つきぎ)地区の、お大師堂に弘法大師坐像が安置されています。
弘法大師像は、日本遺産人吉球磨の構成文化財のひとつとされています。
弘法大師坐像
台座の墨書から、1412年に相良頼仙(よりひと)を大願主として、仏師秀永(しゅうえい)が制作したことがわかっています。
室町時代前期の、弘法大師信仰の広まりを示す、象徴的な像といわれています。
お大師堂があるのは、下槻木といわれる集落です。
お大師さんは、残念ながら普段は見ることができません。
ご開帳は、旧暦の3月21日と8月21日の 「お大師さん祭り」 の時のみとなります。
弘法大師は、お寺を作るために九州各地を回ったという伝説があるようです。
槻木のお大師さまは、40番目に作られたといわれています。
1969年(昭和44年)、熊本県の重要文化財に指定されています。
大師のコウヤマキ
お堂の前にはコウヤマキの大木がそびえ立ちます。
大師堂を造るときに植えられたとされ、推定樹齢は600年です。
県内でも有数の立木で、1969年(昭和44年)には、熊本県の天然記念物に指定されています。
大師のイチョウ
コウヤマキのとなりには、イチョウの大木があります。
イチョウもコウヤマキと同様に、大師堂を造るときに植えたと推測されています。
こちらは、1961年(昭和36年)に、多良木町の天然記念物に指定されています。
平成悠久石
お大師堂にある、球形の石を悠久石(ゆうきゅうせき)とよんでいます。
この石は、2006年(平成18年)、豪雨により下槻木地区の林道の山腹斜面が崩壊し、その土砂の中から突然現れたものです。
東海大学の調査では、材質は砂岩とよばれるものだそうです。
長い時間の中で風化浸食により割れ、流される途中で角が取れ、円形となったと考えられています。
小さなものは良くあるのだそうですが、悠久石のように直径が1.4mもあるものは珍しいそうです。
触れることでご利益を享受できるといわれています。
真偽は定かでありませんが、パチンコにもご利益あるという話をききました。
写真
相良新四国八八札所の霊場、40番札所でもあります。
参道の石段を登らなくても、車で行けます。
参道から見たコウヤマキです。
参道の石造です。
参道の仏像です。
お堂前の手水です。
悠久石のななめ後ろの古木がコウヤマキです。