八代宮は、熊本県八代市にある神社です。
「将軍さま」の愛称を持つ、建武中興15 社の一社です。
城から宮へ
八代宮は、松江城(八代城)の跡地がそっくりそのまま社地となります。
懐良親王の墓所が、松江城の近くにあったためです。
八代宮から市中心部に伸びる参道は、八代宮創建時に整備されたものです。
松江城は、江戸時代のはじめに築城されています。
江戸幕府の武家諸法度の定めでは、一国一城制です。
肥後国(現在の熊本県)には、熊本城があるため松江城が築かれるのは異例でした。
薩摩国(現在の鹿児島県)から、薩摩街道を北上すると八代を通過する必要があります。
幕府が一国二城を許可したのは、摩藩のけん制のためという説が有力です。
江戸時代を通じ、細川家の筆頭家老である松井家が、松江城を守っています。
夫婦松
神橋を渡ると、石垣の前には夫婦松とよばれる二本の松があります。
夫婦松には、こんなご利益があるといわれています。
- 二人が結ばれる
- 夫婦の絆が強くなる
そのため、地元では縁結びの祈願としてお参りする人も多いといいます。
ご祭神
懐良親王
八代宮の主祭神は、懐良親王(かねよししんのう)となります。
後醍醐天皇の皇子です。
南朝の西征大将軍として、九州を制圧しました。
良成親王
配祀神は、 良成親王(よしなりしんのう) です。
後村上天皇の皇子です。
懐良親王から西征大将軍を引き継いでいます。
建武中興十五社
後醍醐天皇による建武の中興は、それまで武家中心社会から天皇中心社会へ戻そうとしたものです。
明治維新は建武の中興と同じく、徳川幕府から明治政府へ実権を移そうとした動きでした。
そのため明治時代以降、建武の中興に関わった人々をまつる神社が創建しています。
建武の中興で活躍した、南朝の皇族や武将を祭神とする 15 の神社を、建武中興15社とよんでいます。
八代宮の創建は、1880年(明治13年)、鎮座は1884年(明治17年)となります。
境内社
境内社の霊社は、八代市および八代郡の戦没英霊をまつります。
その数は3866柱にものぼります。
工業都市であった八代は、空襲の標的になっています。
市内の三楽工場(現在のメルシャン)や、浅野セメント工場(現在の太平洋セメント)では、殉職者もでています。
これら職域殉職者48柱も、霊社にまつられます。
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