本之牟礼(ほんのむれ)分校は、かつて鹿児島県阿久根市にあった大川小学校の分校です。
山間にポツンと残る校舎が印象的です。
本之礼集落
通常は児童数が減って閉校したとはいえ、学校跡の周りには集落が残っています。
しかし、本之牟礼分校の周りには集落らしい集落は見当たりませんでした。
山の中の道をひたすら登っていくと、突然校舎が現れます。
本之牟礼集落は、西都市の寒川集落と同様、住民が集団移転しています。
分校周辺にも集落があり、農地が広がっていましたが移転の際スギなどを植林してあります。
集落跡が一見してわからないのは、山林と同化してしまっているためです。
分校跡への道は、狭く曲がりくねっています。
しかし、上流には西の高実山の登山口や上水道の水源があるため、しっかり整備されています。
1975年（昭和50年）の写真を見ると、本之牟礼分校周辺には農地が広がっています。
2003年（平成15年）の写真では、分校周辺が山林化したのがわかります。
集団移転
本之牟礼分校の校区には、1963年(昭和38年)には、71世帯 227 人が住んでいました。
お店も数軒あって、生活用品は山を降りなくても手に入っていました。
山の斜面には農地が広がり、農業や林業で生計が立っていました。
1971年(昭和46年)の集中豪雨被害を期に、転出が相次ぐようになります。
1983年(昭和 58年)には、住民は 30世帯 65人まで減少します。
1980年代半ばに残った住民は、阿久根市に対し集団移転の要望を出しています。
1989 年(平成元年)、集団移転がはじまった年には、10 世帯 24名まで減少していました。
最後まで残った10世帯のうち7世帯が、市内の倉津地区へ移転し、3世帯は市外へ移転しました。
今では、集団移転の先行事例として取り上げられることがあります。
学校遺構
校舎
本之牟礼分校の校舎は、ほぼ完全な形で残っています。
分校は阿久根市の普通財産です。
閉校後は、陶芸家の方が長い間借りて住んでいました。
木造ですが、外壁はモルタル製です。
そのため分校だけは山林と同化せず、山間にポツンと取り残されたようになってしまいました。
校庭
大川川水系の支流沿いに校庭が造成されています。
校庭の真ん中にはセンダンの大木が立ちます。
もともとは分校に運動場はなく、センダンの木は川の堤防沿いにありました。
のちに運動場を川の方へ造成し広げたため、現在の姿になっています。
遊具
センダンの木のそばの「うんてい」です。
遊具の中で一番人気であったであろう「ブランコ」です。
運動場のすみにある「ジャングルジム」です。
石碑など
石造またはコンクリート造の遺構も、山林と同化していません。
校門です。
本之牟礼分校の跡の記念碑です。
記念碑の下にある碑文です。
記念碑の側面に埋め込まれた、分校の沿革です。
沿革史の上に乗る人形です。
支柱は取り外されていますが、国旗掲揚台の基礎部分です。
運動場の隅にある、手洗い場です。
フタの苔が見事なカメは、陶芸家の方が残されたたものかもしれません。
沿革
| 1914年（大正3年） | 阿久根村立西目尋常小学校本之牟礼分校として創立 |
| 1947年（昭和22年） | 阿久根町立本之牟礼小学校として独立 |
| 1952年（昭和27年） | 阿久根市立本之牟礼小学校へ改称 |
| 1956年（昭和31年） | 阿久根市立大川小学校本之牟礼分校となる |
| 1976年（昭和51年） | 阿久根市立大川小学校と統合 閉校 |
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