草部吉見(くさかべよしみ)神社は、熊本県高森町にある神社です。

九州では宮崎県の鵜戸神宮とならぶ、下り宮となっています。
下り宮とは?

神社の多くは、山中やこんもりとした丘の上などに鎮座します。

そのため、神域の入口となる鳥居より高いところに社殿が建てられるケースが多くなります。

平地に建てられた場合はこの限りではありませんが、鳥居と社殿はほぼ同じ高さです。

逆に、鳥居より下に社殿が建てられるのは、非常にレアなケースです。

草部吉見神社は典型的な下り宮で、日本三大下り宮のひとつとされます。

一之宮貫前神社 | 群馬県富岡市 |
草部吉見神社 | 熊本県高森町 |
鵜戸神宮 | 宮崎県日南市 |

ご祭神

一の宮 | 日小八井命(ひこやいのみこと) |
神武天皇の皇子で別名を国龍神(くにたつのかみ)といい、阿蘇神社では三宮にまつられます。

二の宮 | 比咩御子命(ひめみこのかみ) | 日小八井命の御妃 |
三の宮 | 天彦命(あまつひこのみこと) | 日小八井命の第一皇子 |
四の宮 | 天比咩命(あまつひめのみこと) | 天彦命の御妃 |
五の宮 | 阿蘇都彦命(あそつひこのみこと) | 日小八井命の甥・健磐龍命 |
六の宮 | 阿蘇都比咩命(あそつひめのみこと) | 阿蘇都彦命の御妃 |
七の宮 | 新彦命(にいひこのみこと) | 日小八井命の第二皇子 |
八の宮 | 彌比咩命(にいひめのみこと) | 新彦命の御妃 |
九の宮 | 速瓶玉命(はやみかたまのみこと) | 阿蘇都彦命の嫡子 |
十の宮 | 若彦命(わかひこのみこと) | 天彦命の御子 |
十一の宮 | 新比咩命(にいひめのみこと) | 新彦命の御妃 |
十二の宮 | 彦御子命(ひこみこのみこと) | 健磐龍命の御孫 |

由緒

日小八井命(ひこやいのみこと)は、父である神武天皇の勅命によりこの地に来られています。

まず、住民を苦しめていた大蛇を征伐されました。

大蛇の住処であった、吉ノ池の水を東へ流してしまわれ、池を埋めてその上を宮居とされたと伝わります。

宮居は屋根や壁を草で葺かれたため、この地を草壁といい、転じて草部というようになったといいます。

この居宮こそが、草部吉見神社の発祥といわれています。

ご神木の大杉

日小八井命は娘である、阿蘇都比咩命(あそつひめのみこと)を健磐龍命(たけいわたつのみこと)に嫁がせ、いっしょに阿蘇の開拓をしています。

草部吉見神社の創建は、阿蘇神社より先といわれています。

ご神木の大杉は、樹齢1000年を超すと推定されます。

長命水

手水舎の脇にある鳥居には、塩井社と書かれています。

先には不老長寿の池・吉ノ池があります。

湧き出す水は、草部吉見神社創建以来涸れたことはないといいます。

長命水とよばれ、不老長寿の銘水です。

家のほとりにたたずむのは、日小八井命が退治されたという大蛇の像です。


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