熊本県球磨郡のあさぎり駅から12㎞ほど南に、皆越(みなごえ)という地区があります。
この皆越地区には、全国でも珍しい鬼子母神像があります。
鬼子母神
鬼子母神像は全国にあり、子授け、安産、子育ての神として崇められている仏神です。
鬼子母神というのは、もともとは鬼女で500人の子供を持つ母なのに、その子らを育てるために人間の子供をさらい食べていました。
そのため、お釈迦さまは鬼女のすえっ子を隠し、わが子を失う悲しさと命の尊さを教えました。
改心した鬼女はすべての子供たちと釈迦の教えを守ること誓い、子育てや安産、子供を守護する善神となりました。
鬼子母神造が手にザクロを持っている姿が多いのは、ザクロが人肉の味がするからだとよくいわれています。
しかし、釈迦から今後人肉を食べたくなったらザクロを食べよと諭されたことが本当の理由です。
ザクロは実の中に多くの種を抱えることから、子供を多く産んだり、作物が良く実る行徳があります。
子孫繁栄のご利益があるおめでたい果物とされています。
鬼型鬼子母神
一般的に鬼子母神として知られる姿は、天女で子供を抱き、ザクロを手にする優しい像です。
それとは対照的に、もともとの鬼女に近い姿の像をまつるところもあります。
いわゆる「鬼型鬼子母神」と呼ばれるもので、日蓮宗のお寺では合掌した鬼型鬼子母神像が多くみられます。
皆越鬼子母神を子供を抱いた鬼子母神をイメージして見に行くと、かなりショッキングな姿に映ります。
しかし、天女のような鬼子母神像と同様に、信仰する人を守るありがたい像なのです。
専門家から評価される皆越鬼子母神像
皆越鬼子母神像は、大きく見開いた玉眼と赤く彩色した恐ろしい姿から、驚くべき鬼子母神像といわれています。
なかでも特徴的なのは、髪の毛です。
皆越鬼子母神像は千人の人髪を使って作られたといわれています。
髪を木彫りでかたどるのではなく、人髪や人工髪を植え付けてある神像は、全国でもまれにしか見られません。
皆越鬼子母神像は大きな瞳と髪の毛の迫力から、ほかに類を見ない傑作といわれています。
ご利益
地元では子供を守る神として知られるほか、健康と幸福を授ける神として知られています。
子育てをされる親御さんのほか、子宝祈願、病気平癒、商売繁盛を願う人々が訪れます。
皆越鬼子母神像は、1897年(明治30年)創建の法華寺というお堂に安置されています。
像の前の芳名帳を見ると、遠い他県からも訪れる方が多いのに驚きます。
しかも、特徴的なのは授かったご利益の大きさから、お礼参りの参拝者が多いことです。
像は町指定の文化財となっています。
皆越鬼子母神への行き方
あさぎり駅から車で30分くらいかかります。
まずは清願寺ダムを目指します。
ダムの右岸側に案内看板がありますので、確認して右岸側を上流に進みます。
ダム湖を越えると、離合もひと苦労する山道になります。
対向車と路肩に気を配り、安全運転でご参拝ください。
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