中尾観音は、相良三十三観音霊場の2番札所です。
人吉城の自然の擁壁となっていた、南側の山中にある観音さまです。
相良頼寛公を弔う蓮寺庵
中尾観音堂は人吉城に近く、相良家とかかわりの深い霊場です。
もともとは、人吉藩第21代藩主、相良頼寛(よりひろ)を弔うための観音さまでした。
1667年、頼寛公の婦人、心珠院妙光尼の建てた蓮寿庵(れんじゅあん)が由来です。
その後、清明寺(せいめいじ)となり、ご本尊は中尾観音とよばれるようになりました。
源兵衛さんのお墓
観音堂一帯は墓地となっていて、人吉藩にかかわりの深い人たちのお墓があります。
殿さんの奥さんのお墓、つまり頼寛公のご婦人のお墓は、観音堂の裏手です。
ご婦人のお墓らしい形です。
焼酎墓というのは、生前に焼酎が大好きだった人の墓です。
盃(この地域ではチョクといいます)の形をしています。
家臣のお墓も並んでいます。
なかでも有名なのが源兵衛さんのお墓です。
源兵衛さんというのは、相良家に仕えた幕末の修験者で学者、平川源兵衛のことです。
人吉藩にとって、功績の多い学者さんでした。
今ではお参りすると受験にご利益があるとされています。
受験時期には合格祈願のお参りがどっと増えます。
源兵衛さんは生前、サトイモと焼酎が大好物だったそうです。
お墓の前にお供えするのがならわしだそうです。
ヒゲの付いたサトイモをお供えすると、更にご利益があるといわれています。
ただし、願いを叶えてくださるのは、一度に一つだけなのだとか。
二つ以上のお願いをすると叶わないといわれています。
ご本尊
ご本尊は、千手観音立像になります。
本来は聖観音だったのですが、1862年の寅助火事により焼失しています。
その後、願成寺から譲り受けたのが、現在のご本尊となっています。
どんな願いにも応えてくださる観音さまといわれています。
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