令和2年7月豪雨から2週間がたち、町は復旧に向けて動き出しています。
被災した方たちの疲れも見えはじめていますが、多くのボランティアの方に助けられ励まされています。心から感謝申し上げます。
地域住民の通学・通勤・生活の足であり、観光の目玉である「くま川鉄道」「肥薩おれんじ鉄道」そして「JR肥薩線」の橋梁落橋や駅舎,レール等に甚大な被害が発生、長期不通の見通しとなっています。
— 金子恭之 (@nekotanchan) July 10, 2020
熊本県と国土交通省の連携の下、
まずは、代替輸送の確保を迅速にに進めています。 pic.twitter.com/AsLX6yqcci
個人的に最近心配しているのが鉄道資産の復旧です。
今回は、鉄道被害に的を絞ってみました。
被災前と全く同じ町並みはもう見ることはできない
寸断された道路の仮設工事は、24時間態勢で臨んでいます。
ライフラインの復旧工事も急ピッチですすんでいます。
民間レベルでも、選択を迫られます。
- 被災前と同じものを復元する
- 被災前のものを改良し違うものにする
- 違う場所へ移り新しいものにする
- 復旧せず葬り去る
いずれにしても、被災前と同じ町並みにはならないことは覚悟しています。
それは鉄道も同様です。
公共交通機関とはいっても、道路と鉄道は違います。
JR九州、豪雨で土砂流入・橋梁流出など計345件被災 久大本線・肥薩線では復旧に「かなりの時間」 https://t.co/QA8hD1V00J pic.twitter.com/jKcUzX588M
— EX-TRAIN -鉄道ニュース- (@extraininfo) July 13, 2020
道路の所有者・管理者は国や県や市町村です。
日本の鉄道のほとんどは、民間会社が管理しています。
被害の状況
JR九州肥薩線
7月18日(土)現在八代~吉松間で運行見合わせ中です。
橋梁の流失
球磨川第一橋梁 鎌瀬~瀬戸石間
球磨川第二橋梁 那良口~鎌瀬間
球磨川支流にかかる橋梁も被害を受けています。
複数駅の冠水
八代~人吉駅間の半数以上の駅が浸水しています。
複数個所の寸断
土砂や流木の流入し、道床が流出しています。
くま川鉄道湯前線
鉄道は全線運休中です。
おはようございます。車掌永村です。代行輸送が決定致しました。バス11台による大規模なものです。特に平日朝の6時、7時台の2D、4D、5Dの3列車では合わせて約850人の高校生をお運びさせて頂いておりました。夕方の列車を入れて約1,700人。…
くまてつ応援サポーターさんの投稿 2020年7月17日金曜日
7月17日(金)からバスによる代替運行がはじまりました。
橋梁の流失
球磨川第四橋梁 川村駅~肥後西村間
浸水被害
車庫・全車両の浸水
人吉温泉駅の浸水
川村駅の浸水と流失
複数箇所の寸断
相良藩願成寺駅~肥後西村駅間で、土砂流入や道床流失被害が発生しています。
肥薩おれんじ鉄道
豪雨後全線で運行を見合わせていました。
7月18日(土)現在、八代~水俣駅間が運休です。
水俣~川内間は運行しています。
順次、運行区間は拡大されていく見通しです。
冠水と寸断
佐敷駅が冠水しました。
熊本県芦北町 駅の線路が水没
— NHKニュース (@nhk_news) July 4, 2020
午前7時前に熊本県芦北町のアパートの3階から肥薩おれんじ鉄道の佐敷駅の付近を撮影した映像です。
線路は茶色く濁った水につかって見えなくなっていて、駅のホームだけが確認できる状態です。https://t.co/ZgJjJg9xFl pic.twitter.com/ii1RIXS3rB
肥後高田~米ノ津間で、45箇所において土砂流入や道床流出などの被害が確認されています。
最近の類似ケース
今回の被災と似たケースとしては、熊本地震が記憶にあたらしいところです。
2016年(平成28年)4月の熊本地震で甚大な被害を受けたJR九州豊肥本線は復旧をすすめていました。
2020年(令和2年)8月に全線復旧が報道されています。
しかし、豊肥本線は「本線」です。
肥薩線と似た「ローカル線」を見てみます。
2017年(平成29年)7月豪雨で大被災したJR九州日田彦山線は、今回の肥薩線のケースと似ています。
日田彦山線は、鉄道復旧を断念したニュースが今年6月に入ったばかりでした。
正確には廃止ではなく、不通区間である彦山~宝珠山駅のBRT転換です。
洪水被害での廃線
過去の例を見ると、洪水被害後復旧予算が多額なことから、廃線の道を歩んだ路線が多くあります。
九州でも高千穂鉄道高千穂線(2008年)や鹿児島交通の枕崎線(1982年)の廃線は、豪雨被害が直接の原因でした。
JR九州の場合、これまでの赤字額は、広告宣伝の範囲内として許容していたのかもしれません。
しかし、復旧費の投資と将来の償却を考慮すると話は変わってくるはずです。
くま川鉄道と肥薩おれんじ鉄道は第三セクターで、周辺市町村が株主です。
実質的な意思決定は、大株主である各市町村によって行われます。
くま川鉄道は、住民の通学費用を抑えるために、JRから転換したように記憶しています。
1989年当時とは状況も変わっています。
まとめ
ユーザーの利益と、株主の利益を両立させるのが株式会社です。
地域の公共交通機関の場合、それが難しいのが現実です。
個人的には、全路線の全線復活を望みます。
くま川鉄道 復興祈願切符
関東交通印刷が、くま川鉄道の復興を願って商品化した切符です。
売上金は販売経費に掛かる一部を除き、くま川鉄道へ寄付されます。
くまてつ応援サポーターさんの投稿 2020年7月17日金曜日
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