立花ダムは、宮崎県西都市にある重力式コンクリートダムです。

三財川総合開発事業の一環として、下流にある寒川ダムとともに建設されました。
秘境につくられたダム

下流の寒川ダムも人里離れていましたが、さらに上流に位置するダムになります。

上三財から長い区間、人家がありません。

道も離合できないような狭さです。

谷も深く山に分け入ることになります。

もちろん携帯電話も通じないので、来たことを後悔させるような道が続きます。

三財川総合開発事業工事には、延べ38万人の人が携わっています。

高度経済成長期以前に建設されたダムは、多少なりとも殉職者がいらっしゃいます。

立花ダムと寒川ダムでは、険しい山中の工事にもかかわらず、死亡事故が全くありませんでした。

山を削り、大きく開けたこの場所は、プラントや飯場があった場所と思われます。

これだけ九州山地に分け入ると、立花ダムによる水没世帯はなかったことでしょう。

山奥の多目的ダム

山奥にあるダムなので、小規模なダムと思っていました。

ダム自体は、堤高71.3m、堤長 193.5mと、比較的大規模なものです。

下流の立花発電所では、最高出力 13,400kw の水力発電を行います。

水力発電のほか、治水と利水も行う多目的ダムです。

下流の寒川ダムとともに、1963年(昭和38年)に運用を開始しています。

以来、西都市の水害を防除しています。
ダム管理所

見た感じ常駐管理されています。

立花ダムの管理所に寝泊まりするのは、かなり勇気が必要だと思います。

ただでさえ山深いのに、人里から離れすぎています。

しかも、豪雨や台風の際には孤立してしまうのも覚悟することになります。

人恋しい以上に、山から下りれなくなりそうなのが不安です。
諸元
名称 | 立花ダム |
場所 | 宮崎県西都市大字寒川字蛇篭216-5 |
水系 | 一ツ瀬川 |
河川 | 三財川 |
型式 | 重力式コンクリート |
事業者 | 宮崎県 |
施行者 | 熊谷組 |
ダム湖 | - |
目的 | 洪水調整/河川維持用水/発電 |
最高出力 (発電) | 13,400kw |
堤高 | 71.3m |
堤頂長 | 193.5m |
堤体積 | 176千㎥ |
流域面積 | 70.5㎢ |
湛水面積 | 29ha |
総貯水容量 | 10,000千㎥ |
有効貯水容量 | 8,480千㎥ |
着手/竣工 | 1957/1963 |
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