高野分校 トラフグ養殖?海自えびの通信所近くの戦後創立した学校

高野分校は、かつて宮崎県えびの市にあった、えびの市立飯野小学校の分校です。

 

えびの温泉トラフグ 

高野分校跡地は再利用されています。 

大阪のPNGという会社が、旧校舎ごと使っています。 

PNGは自動車関連の会社なのですが、高野分校でやっているのは、フグの養殖です。 

山の中でフグの養殖? 

と思われるかもしれませんが、それには理由があります。 

PNGの社長さんは、宮崎県えびの市出身です。 

ご実家が京町温泉の近くで、ご家族が泉源をお持ちでした。 

栃木県の会社が、温泉水でフグの養殖をしているというのを見て、これだと思われたそうです。 

屋内プールがあったのも、高野分校が選ばれた理由のひとつかもしれません。  

山の中でフグの養殖ですからね。 

それを事業として実現しているところがすごいと思います。 

高野地区と学校開設 

高野地区は戦後、国の開拓計画によってできた新しい集落です。 

入植がはじまったのは、1951年(昭和26年)のことでした。 

分校ができる前、子供たちは片道1時間かけて、峠の先にある鉄山分校まで通っていました。 

学校建設が待望され、1954年(昭和29年)に高野分校が開校しています。 

開校時の児童数は26人でした。 

1960年(昭和35年)には54人となり、これが高野小学校の児童数のピークとなりました。 

以降、児童数は年々減りはじめ、ついには2005年(平成17年)休校となっています。

廃校となったのは、その4年後、2009年(平成21年)でした。

海上自衛隊えびの通信所 

高野地区の近くに海上自衛隊の通信施設があります。 

潜水艦向けの、超長波(VLF)通信を行なっています。 

VLFは、40mくらいまでなら水の中にも電波を通す特性があります。 

水面付近の潜水艦と通信できるわけです。 

えびの通信所が、国内唯一の現役超長波通信施設となっています。 

1991年(平成3年)に完成した施設です。 

地元では、建設前に反対運動をやっていたので何となく知っていました。 

衛星写真でみると、テニスコートがあるのが見えますので、隊員が常駐しているのだと思います。 

これこそが、山の中の海軍基地ではないでしょうか。 

もっとも、指令自体は市ヶ谷あたりで出されると思います。 

それを潜水艦へ向けて通信する重要施設であることは間違いありません。 

関係者でない限り、敷地内に入ることはできません。 

高野分校沿革

1954年(昭和29年)飯野町立飯野小学校高野分校として創立 
1966年(昭和41年)えびの町立飯野小学校高野分校へ改称
1970年(昭和45年)えびの市立飯野小学校高野分校へ改称
1987年(昭和62年)現存校舎落成
1992年(平成4年)屋内プール完成 
2005年(平成17年)休校
2009年(平成21年)廃校

場所 宮崎県えびの市大字坂元1666 

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