朝陽小学校は、かつて鹿児島県薩摩川内市入来町にあった公立小学校です。
校舎や体育館は古いものではありません。
しかし、鹿児島県道 42 号川内加治木線・通称空港道路沿いの石垣や、校内の手水鉢、校門のソテツがその歴史を感じさせます。
石垣
県道沿いの石垣は1909年(明治42年)に、校区民総出で築いたものです。
当時は重機などなく、何ヶ月もかかって川から石を運んだそうです。
1981年(昭和56年)に空港道路の拡張工事が行われ際には、25mにわたり崩落する事態となりました。
しかし、100年以上経った現在も石垣は健在です。
空港道路は、朝陽小学校から鹿児島空港までの30 kmを40分で結んでいます。
手水鉢(ちょうずばち)
玄関前の石造手水鉢も、1909年(明治 42 年)の石垣構築の記念に、校区民から寄贈されたものです。
子供達が手を清潔に保ち、健康に育つようにという願いが込められています。
ソテツ
校門に植えられた立派なソテツは、大正 11 年に植えられものです。
校庭のイチョウ
校庭の南西端と北西端には、イチョウが植えられています。
木の大きさからいって、校舎が現在地へ移転する前からこの地にあったものかもしれません。
校内
最初は城跡に小学校を作ったのかと思いました。
調べてみると学校ができたあと、石垣を造ってあります。
まるで、お城のような石垣です。
つい最近閉校した小学校です。
薩摩川内市立朝陽小学校の読み方は「ちょうよう」です。
全国には、同名小学校が6つあります。
- 釧路市立朝陽小学校(北海道釧路市)
- 弘前市立朝陽小学校(青森県弘前市)
- 八街市立朝陽小学校(千葉県八街市)
- 長野市立朝陽小学校(長野県長野市)
- 岸和田市立朝陽小学校(大阪府岸和田市)
- 薩摩川内市立朝陽小学校(鹿児島県薩摩川内市)
このうち「あさひ」と読むのは、長野市の朝陽小学校だけです。
朝日を意味するのは、同じなのかもしれません。
水を抜いたプールは珍しいです。
プールには、防火水槽代わりに水を貯めたままのところがほとんどです。
そばに後川内川が流れているため、防火水槽は必要ないのでしょう。
147年間もの歴史があった学校でした。
沿革
1870年(明治3年) | 布泊稽古所として創立 |
1876年(明治9年) | 布泊小学校へ改称 |
1879年(明治12年) | 現在地へ移転 |
1887年(明治20年) | 布泊簡易小学校へ改称 |
1909年(明治42年) | 手水鉢設置 |
1922年(大正11年) | 校門のソテツ植樹 |
1926年(大正15年) | 朝陽尋常小学校へ改称 |
1941年(昭和16年) | 朝陽国民学校へ改称 |
1947年(昭和22年) | 入来村立朝陽小学校へ改称 |
1948年(昭和23年) | 入来町立朝陽小学校へ改称 |
2004年(平成16年) | 薩摩川内市立朝陽小学校へ改称 |
2018年(平成30年) | 入来小学校へ統合、閉校 |
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