住吉神社は、熊本県宇土市にある神社です。
肥後国の歴代藩主に崇拝された、海上交通の守護神です。
住吉自然公園
住吉神社の社地は、有明海に面した住吉自然公園内となります。
社殿までは、二の鳥居から遊歩道が続いています。
社地の奥では、英国の海藻学者ドゥールー女史の碑や、住吉灯台を見ることができます。
由緒
住吉神社は、1071年に当時の肥後国司、菊池則隆が、摂津住吉宮を勧請したのがはじまりです。
海上安全の守護神であり、菊池氏代々の崇拝を受けています。
細川氏入国後、島原の乱で細川忠利が出陣する際、武運と航海安全を祈願しています。
忠利は、後にお礼参りをし、住吉神社に名刀を奉納しました。
これが、細川家の住吉神社崇拝のはじまりとなっています。
肥後三大社
住吉神社の社殿は、戦国時代に戦火に遭っています。
1673年に、当時の第五代肥後藩主であった細川綱利が社殿を再建しています。
以降、肥後三大社として細川家代々の崇拝を受けています。
肥後三大社というのは、江戸時代に細川氏が特に評した肥後国内の三社です。
八幡、祇園、住吉と日本を代表する、3つの信仰の神社を指します。
藤崎八幡宮 | 熊本市中央区 | 京都石清水八幡宮を勧請 |
北岡神社 | 熊本市西区 | 京都祇園神社を勧請 |
住吉神社 | 宇土市 | 摂津住吉宮を勧請 |
ご祭神
- 底筒之男命(そこっつおのみこと)
- 中筒之男命(なかいっつおのみこと)
- 表筒之男命(うわつつおにみこと)
- 神功皇后(じんぐうこうごう)
日本最古の灯台
細川家第6代、細川宣紀が参勤交代の際、長州周防灘を航海中、暴風雨により遭難しています。
しかし、住吉神社の神助があり、生き延びたと考えられました。
1724年には、このお礼として住吉神社に、高灯籠を寄進しています。
航海安全を図るために造られた、日本最古の灯台といわれています。
現在の住吉灯台の前身です。
このあたりは、有明海から緑川を通り、熊本へ入る玄関口で、海上航路の要衝です。
高灯籠は、藩から支給されるごま油を燃料としていました。
廃藩置県後は、ごま油の支給が途絶えて灯りは消えてしまいます。
後に住吉灯台が完成したのは、1933年(昭和8年)のことでした。
風流島
風流島(たはれじま)というのは、住吉自然公園の沖にある小さな島です。
頂上には鳥居が建てられています。
伊勢物語や枕草子にも登場する、古くから有名な島です。
海苔養殖の母 ドゥールー女史
有明海の干潟では、江戸時代から海苔が生産されていました。
しかし、昭和時代になっても海苔の生産量はとても不安定で、貴重なものでした。
ドゥールー女史は、イギリスマンチェスター大学で海藻の研究をしていました。
1949年(昭和24年)に、海苔の方士が夏場に貝がらに潜っていることを発見しています。
ドゥールー女史の発見はすぐに九州大学へ伝えられ、これをもとに熊本県水産試験場で人工採苗に成功しています。
今日の海苔養殖は、 ドゥールー女史の発見なくしてはありませんでした。
海苔の生産地である有明海を見下ろす、住吉自然公園にドゥールー女史の顕著時を建てたものです。
場所 熊本県宇土市住吉町2067
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