阿蘇山上ドライブインというのは、かつて阿蘇山頂広場にあった商業施設です。

中岳火口を訪れたことにある人なら、必ず目にしています。
阿蘇山頂広場

阿蘇山頂の観光開発は、1956年 (昭和31年) の、阿蘇登山道路の供用開始にはじまります。

阿蘇山頂広場は、阿蘇山公園道路の起点で、阿蘇山上ターミナルのある、中岳火口への玄関口です。
阿蘇山ロープウェー – Wikipedia
かつては、阿蘇山ロープウェイの火口西駅があり、年間 100万人が訪れる阿蘇観光の一等地でした。

長年にわたり阿蘇山頂広場で営業していたのが、阿蘇山頂ドライブインです。

ドライブイン

1階にはお土産売場と休憩コーナー、2階はレストランとジンギスカン専用ホールでした。

さらに3階もホールで、収容人数は1000人といわれています。

昭和時代は団体旅行が主流であり、これに対応する大施設が必要でした。

レストランのメニューも、溶岩石焼定食や火口焼きなど中岳火口にちなむネーミングだったといいます。

また、だんご汁や高菜ピラフなど、郷土料理や特産品を素材にした料理も用意されていました。

レストキャビン火の国茶店

阿蘇山上ターミナル側の建物は、レストキャビン火の国茶店 (ひのくにさてん)でした。

こちらはレストラン & 喫茶となっていて、メニューも豊富でした。

人気メニューはちゃんぽんで、「開業以来変わらない味」というのが売り文句でした。

2020年 (令和2年) の、阿蘇山火口シャトルバスの運行開始時には、発着所として利用されています。

2021年 (令和3年)には、阿蘇山上ターミナルの完成で、再び空きビルに戻っています。

火山活動の活発化

2014 年 (平成26年)、 中岳の噴火警戒レベルが2へ引き上げられ、火山活動が長期化したことで事態が一変しています。

火口への入山が規制され、観光客が訪れなくなりました。

2016 年 (平成28年)には、熊本地震に見舞われたうえ、中岳が噴火し阿蘇山頂広場の施設も大被害を受けています。

火口付近への入山規制は、2018年(平成30年) まで続くことになります。

中岳火口に最も近い立地なのは、特権的な優位性であると同時に、大きなリスクを持つ諸刃の剣です。

コントロールできない自然の驚異の前で、一世を風靡した施設もなすすべなく、ただ佇んでいるように見えます。


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