豊後森機関車は、かつて久大本線豊後森駅にあった豊後森機関区の機関庫です。

蒸気機関車のために建てられた大規模な扇型機関庫と転車台が、奇跡的に現在も残されています。
豊後森機関区とは?

久大線が全通すると久留米から大分まで、九州北部を横断する長距離路線となります。

当時の蒸気機関車には、中間に石炭と水を補給する中継ポイントが必要です。

1934年(昭和9年)、久大線全通と同時に置かれたのが、豊後森機関区でした。

最盛期の1948年(昭和23年)には、25両の車両と217名の職員が在籍していました。

久大本線の無煙化に伴い、 1971年(昭和46年)に廃止されています。

国指定登録有形文化財

よくぞまあ、1971年(昭和46年)に使わなくなった設備を今まで残したていたものです。

背景には、地元の方の保存運動がありました。

おかげで、現在では九州で唯一残る扇型機関庫です。

今や国の登録有形文化財となっています。

また、経産省認定の近代化産業遺産となります。

先の大戦では、久大本線は軍事物資や兵員を運んでいます。

沖縄戦がはじまると、米軍による九州への空襲は数を増しています。

豊後森機関庫は軍事輸送拠点であり、攻撃対象でした。

1945年(昭和20年)には、機銃掃射により職員3名が殉職しています。

転車台

転車台というのは、蒸気機関車の進行する方へ向きを変える装置です。

電車や気動車は、どちら向きでも同じ性能で走れるので、両方向に運転席がついています、

蒸気機関車は、持つ性能を発揮するには前向きに走る必要があるため、機関区には転車台が置かれています。

機関庫と同様に、国の登録有形文化財です。

9600型機関車

転車台の前にはキューロク型蒸気機関車が停車しています。

29612号機は豊後森区に所属したことはありませんが、九州局管内を走った車両です。

主に長崎本線で運行され、 行橋機関区で引退しています。

ながらく、福岡県の志免町で静態保存されていました。

メンテナンス費用予算が議会を通らず解体寸前のところを、豊後森機関車へ迎え入れたものです。

豊後森機関庫ミュージアム

豊後森機関区にあるのは、機関車だけではありません。

敷地は豊後森機関庫公園になっていて、2015年(平成27年)には、豊後森機関庫ミュージアムが開館しています。

鉄道資料の展示体験施設です。

豊後森機関区が現役だった当時の写真などを見ることができます。

開館時間 | 10:00~16:00 |
休館日 | 年末年始 |
入館料 | 100円 |


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