旧佐敷トンネルは、熊本県芦北町の薩摩街道にあるトンネルです。
現在の国道3号線のトンネルを佐敷トンネルといいます。
南九州西回り自動車道のトンネルが新佐敷トンネルです。
薩摩街道
トンネルのある佐敷太郎峠は、佐敷(さしき)から海浦(うみのうら)へ抜ける峠です。
このあたりで、南北を縦断するには佐敷太郎峠を越えなければならず、難所のひとつとされていました。
江戸時代になると、薩摩の殿さまが参勤交代で通る薩摩街道となっています。
歴代島津藩主の大名行列が通る、超重要ルートだったのです。
旧佐敷トンネルは、またの名を佐敷隧道といいます。
明治時代になり、馬車が普及すると道路改良に迫られ、峠部分に隧道を掘ることになります。
こうして、1903年(明治36年)に隧道が完成しています。
佐敷隧道
佐敷隧道はレンガ製で、外側はフランス積ですが、柱状態の部分は石造となります。
隧道内部のアーチ部は長手積、側壁部はイギリス積が採用されています。
そのうち時代は、車社会になります。
佐敷隧道の薩摩側入口にある換気施設が、車の通行量が多かったことを物語ります。
さらに、佐敷太郎峠区間を大幅短縮するため新3号線工事がはじまります。
こうして1965年(昭和40年)に、新国道3号線に佐敷トンネルが開通しています。
旧国道3号線は、主要道路からは外れましたが、その後も現役で使われることになります。
佐敷隧道ももちろん現役です。
貴重な土木遺産であり、国の有形文化財に登録されています。
心霊スポット
佐敷隧道は、全国的には文化遺産としてより、心霊スポットとして有名です。
以前から心霊現象の起きる場所として。うわさはありました。
- 女性の霊を見た
- トンネルの中では霊の声や、不気味な音が聞こえる
- 肝試しをしていた若者が行方不明になった
- トンネルの帰りに事故に遭った
ところが数年前、ツイッターの動画が拡散し有名になっています。
トンネル内を歩いていると、足を何者かに引っ張られるというものです。
本当に出るのか?
佐敷隧道は、長さが434mもあり、照明がなく昼でも真っ暗です。
中に入ると、水が浸みだしていて水滴が落ちる音や、風で葉っぱが飛ぶ音がずっと聞こえています。
トンネル内は補修してレンガの上にコンクリートが塗られていますし、水でシミが浮き出しています。
夜そういう気持ちでトンネルを歩くと、変な音が聞こえたり、シミが顔に見えたりするはずです。
その上、トンネルまでの旧道は急斜面を這うように通してあります。
路肩ももろく、落ちると大事故につながります。
肝だめしが目的でなければ、明るいうちに訪れることをおススメします。
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