羽島崎(はしまざき)神社は、鹿児島県いちき串木野市にある神社です。

日本で唯一ゴンザをご祭神とする、ゴンザ神社という境内社を擁します。
ご祭神

- 大己貴命(おおなむちのみこと)
- 少彦名命(すくなひこなのみこと)

大己貴命は少彦名命と協力して、国造りをした神さまです。

また商売、医薬、酒造の神さまとししても知られています。

ご利益

- 福徳開運
- 五穀成就
- 漁業満足
- 航海安全
- 酒造
- 厄除
- 縁結び安産

境内神社の「菅原神社」と「ゴンザ神社」は学問の神さまです。

ゴンザとは?

ゴンザというのは、漁師の息子で船乗りです。

1728年、薩摩藩の命令で、大阪へ向けて出港します。

しかし、船は嵐に遭いロシア領のカムチャッカに漂着しました。

乗組員17名のうち助かったのは、ゴンザ(当時11才)とソウザ(当時35才)の2名だけでした。

2人は2年間は奴隷のような生活でしたが、シベリア大陸を横断しモスクワへ到達します。

そこで、アンナヨアノヴナ女帝と会うことになります。

ゴンザは女帝の質問に対し、すべてロシア語で答えたといいます。

女帝は驚き、ゴンザに科学アカデミーで日本語を教えるよう任命しています。

残念なことに、ソウザは翌年亡くなっています。

ゴンザは12,000語におよぶ世界初の露和辞典を、わずか3年の間にまとめあげています。
ちなみにゴンザがいたサンクトペテルブルグ大学は、このあたりです。
ゴンザの出身地は羽島?

ゴンザは享年 21才、ソウザは享年 42才で、故郷に帰ることはないまま亡くなっています。

実は、ゴンザの露和辞典の日本語はすべて薩摩弁です。

厳密にいえば、露薩辞典でした。

その薩摩弁の特徴から、ゴンザは旧串木野市で生まれ育ったことがわかっています。

ゴンザの本名は「権左衛門」、ソウザは「早左衛門」であったのではないかといわれています。

実はゴンザが知られるようになったのは、サンクトペテルブルグ大学の博物館の資料からです。

鹿児島県でも数十年前まで、ゴンザのことはほとんど知られていませんでした。

ゴンザ神社は、260年振りにロシアから故郷に、ゴンザの御霊を迎えた神社なのです。

太郎太郎祭り

太郎太郎祭りというのは、豊漁と豊作を祈願する、羽島崎神社の春祭りです。

地域に伝わる伝統行事です。

豊漁を願うイベントは「船持ち」とよばれ、豊作を願うイベントは「田打ち」といいます。

両方を同時に行う、県内でも珍しい例大祭です。

「五つの祝い」といって、地域の5才になる子らによって奉納されます。

旧暦2月4日に行われていましたが、最近はそれに近い日曜日に開催されます。
願いの鐘

願いの鐘は、3つ打ちます。

ひとつは、過去不幸消滅、敬神祈願のためなり

ひとつは、現在諸願成就、家内安全のためなり

ひとつは、未来福徳円満、成功成就のためなり

萬造寺斎の生誕地

萬造寺斎(まんぞうじひとし)というのは、羽島出身の歌人です。

東京帝国大学(現在の東京大学)英文科に在学中、与謝野晶子の夫・鉄幹の弟子となります。

文芸誌「明星」が廃刊したのを受けて、森鴎外らと「すばる」を刊行しています。

石川啄木、高村光太郎、北原白秋など多くの歌人・詩人と交流がありました。

望郷碑には3つの歌が刻まれています。
- 行かまほし悩みいたづき振りすてて
南の海辺とおきふるさと - ふるさとや海のひびきも遠き世の
こだまの如し若き日思へば - ふるさとの浜の砂原小石原生きて
ふたたび踏まむ日なきか

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