印鑰神社(いんにゃく)は、熊本県八代市にある神社です。

難しく珍しい社名ですが、九州北部では比較的ポピュラーな神社です。
印鑰とは?

印鑰というのは珍しい名前ですが、同名の神社は東北や九州に分布します。

特に筑紫国(現在の福岡県) に多く存在しています。

共通しているのは、律令国の国府や郡府が関係した地に鎮座していることです。

印というのは、その名の通り朝廷から預かっていた公印を意味します。

鑰(にゃく)というのは、正倉のカギを意味します。

この当時、公印とカギはとても重要なもので、天皇の代わりと考えられていました。

平素は別殿に厳重に保管され、大切に祀られていました。
由緒

印鑰神社の社地は、かつて肥後国下八代地方の祖米が収納される郡倉でした。

その跡地に、印鑰神社が創建されたものです。

1198年、人吉藩主・相良長頼が石川宿禰 (いしかわすくね) の分霊を勧請しています。

律令国朝廷の財政管理官をしていたのは蘇我氏でした。

ご祭神の蘇賀石川宿禰(そがいしかわすくね)は、蘇我一族の氏祖とされています。
ご祭神

蘇賀石川宿禰(そがいしかわすくね・すくねは敬称です)

蘇賀石川宿禰は5世紀の初め、筑紫国(現在の福岡県)の暴徒鎮圧のため、九州に移り住んだといわれています。

最後は、八代郡の国府で崩じたと伝わります。
鮒取神事
印鑰神社の春季大祭(4月7日)では、鏡池に飛び込みフナを捕まえます。

蘇賀石川宿禰がこの地へ移った際、若者たちが鏡池のフナを手づかみし献上しもてなした故事にちなんでいます。

なんと、800年も続く恒例行事です。

フナと一緒に上がる泥がかかると、無病息災や厄除けのご利益があるとされます。

境内社
本殿奥に境内社が2社あります。

弁天宮

弁財天(べんざいてん) をまつります。

本来は仏教の守護神ですが、神道においては市杵嶋姫命(いちきしまひめのみこと)と同一視されます。

粟島神社

一般的には、 淡島神(あわしまのかみ)をまつります。

婦人病はじめ安産・子授け・裁縫など女性に関するすべてにご利益があるとされます。

ミニ鳥居は粟島神社の特徴で、くぐると病気や痛いところが治るといわれています。

場所 熊本県八代市鏡町鏡村1
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