石室観音堂 「原田喧嘩」で残された石室の名前と観音さま

石室(いしむろ)観音堂は、相良三十三観音霊場の7番札所となります。

石室観音堂

石水寺という大きなお寺の一角にあるお堂です。

原田喧嘩とは?

もとをたどると石室観音は、この原田地区にあった、石室寺というお寺のご本尊でした。

ところが、1502年に「原田喧嘩」という騒動がおきます。

石室観音堂より見た石水寺

「原田喧嘩」というのは、石室寺ととなりあう加茂神社との間で、境界線をめぐって争ったことをいいます。

しかし、この騒動で石室寺は廃寺に追いこまれてしまいました。

石室観音堂

石室の名前と観音さまを残し、石水寺のとなりに移されたのが現在の石室観音堂です。

ご本尊

ご本尊は、聖観音座像となります。

相良三十三観音のなかでは、常時開帳されている数少ない観音さまです。

石室観音

ご本尊隣の厨子にも、珍しい聖観音立像と童子の座像が安置されています。

しかし童子像はもう一体あったのですが、残念なことに十年ほど前に盗まれてしましました。

石室観音の御朱印箱

いまだに行方不明なんだそうです。

このようなことがあるため、どこの観音堂も鍵がかけられ、常時開帳されなくなってしまったのだなあと感じました。

【石室観音堂】

場所 熊本県人吉市下原田町西門2348

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石水寺

石室観音堂のとなりにある、おおきな寺院が石水寺です。

石水寺の眼鏡橋手前の木造山門

春にカイドウの花が咲くことで知られています。

1417年開山の曹洞宗のお寺で、カイドウは開山の記念に植えられたといいます。

石水寺の眼鏡橋

だとしたら、樹齢は600年にもなると思われます。

山門にかかるアーチ型の眼鏡橋が目を引きます。

石水寺の本堂と石造山門

丸い石をくりぬいた山門も有名です。

【石水寺】

場所 熊本県人吉市下原田町2348

天満宮

石水寺のすぐ近くには、天神さんも鎮座します。

西門天満宮の鳥居

ここらへんには、現在でも寺社が集中しています。

【西門菅原天満宮】

場所 熊本県人吉市下原田町西門

まとめ

石室観音堂周辺には、石水寺を中心に寺社が多くあり、霊場にふさわしい場所です。

宗教家にとっては重要な土地でした。

西門天満宮社殿

だからこそ、寺社間の敷地の境界線争いがおこり、それが原因で廃寺にまで追い込まれています。

まあ、それを500年後まで語り継がれるとは、当事者たちは思ってなかったでしょう。