鹿児島五社　薩摩城下の災いを防いだ鹿児島五社参り

鹿児島五社というのは、鹿児島市の上町(かんまち)地区にある、5つの神社のことです。

別名、上町五社とよばれることもあります。

鹿児島五社参り

鹿児島五社は、島津氏の居城であった内城や鶴丸城からみて北東に集中しています。

北東は方角的に鬼門にあたります。

鹿児島城下への災いを防ぐという意味合いで神社が集中しているのです。

鹿児島五社はいずれも日本を代表する神道信仰でありながら、重複する系列がありません。

すくなくとも第17代・島津義弘公（1535～1619）の時代には、五社参りがはじまっていまいた。

鹿児島五社参りは、もともとは島津家の風習でした。

家臣や武士も5社参りをはじめ、それが次第に一般庶民にも広がったものです。

鹿児島五社の序列

鹿児島五社には序列がありました。

ただし、序列は島津氏の崇拝度合いや、巡る順番とは関連していないといわれています。

いずれも、江戸時代までは島津氏の保護により大きな神社でした。

しかし、周辺市域が発展し、車社会に変わってきました。

次第に郊外の大神社や照国神社などの新興神社に押されることになっています。

現在は宮司さんの常駐しない神社もあります。

稲荷神社の手水

１．南方神社

信州(現在の長野県)の諏訪大社を勧請したものです。

鹿児島県の多くの諏訪大社系の神社が南方神社と名乗っています。

これは、鹿児島県周辺でしか見られない特徴です。

ご祭神

• 建御名方刀美命(たけみなかたとみのみこと)
• 八坂刀売命(やさかとめのみこと)

２．八坂神社

1160年に京都の八坂神社を勧請したものです。

現在は、稲荷側の河口に位置していますが、過去にはたびたび戦火に見舞われています。

現在の社殿は戦後に復興されたものです。

例祭は「おぎおんさあ」といい、鹿児島版の祇園祭です。

ご祭神

須戔嗚尊ご夫婦とその御子神となる、五男三女神をまつります。

• 須戔鳴尊(すさのおのみこと)
• 奇稲田比売命(くしなだひめのみこと)
• 天之忍穂耳命(おめのおしほみみのみこと)
• 天之善卑命(あめのほひのみこと)
• 天津日子根命(あまつひこねのみこと)
• 活津日子根命(いくつひこねのみこと)
• 熊野久須毘命(くまのくすびのみこと)
• 多紀理毘命(たぎりびめのみこと)
• 多岐都比売命(たぎつひめのみこと)
• 市寸島比売命(いちきしまひめのみこと)

３．稲荷神社

鹿児島稲荷神社ともよばれます。

稲荷神社は島津氏と縁の深い神社です。

というのも、始祖忠久公は摂津(現在の大阪府)の住吉大社で、稲荷神の狐火に守られて生まれたとされるからです。

島津荘へ入った島津忠久公が、稲荷神社を勧請したのがはじまりになります。

江戸時代には藩主の崇敬神社として、とてもにぎわっていました。

ご祭神

• 宇迦御魂命(うかのかまたのみこと)
• 猿田彦命(さるたひこのみこと)
• 大宮姫命(おおみやのひめのみこと)

４．春日神社

五社の中では、創建に島津氏が関わらない唯一の神社です。

1053 年に、藤原氏が東福寺城築城の際に、鎮守社として、大和(現在の奈良県)の春日神社を勧請したのがはじまりです。

南北朝時代に島津氏と対立したため、1343年の東福寺城は陥落しています。

その後、江戸時代に東福寺城は廃城となり、春日神社だけが残っています。

ご祭神

春日四神をまつります。

• 建御雷神(たけみかづちのかみ)
• 経津主神(ふなつぬしのかみ)
• 天児屋根命(あめのこやねのみこと)
• 比売神(ひめがみ)

５．若宮神社

若宮神社は、島津氏の始祖忠久公が、鎌倉の鶴岡八幡宮を勧請したものです。

一説では、島津氏が 1356年に、大隅正八幡宮(現在の鹿児島神宮)を勧請したとも伝わります。

ご祭神

八幡三神をまつります。

• 応神天皇
• 仁徳天皇
• 神功皇后

まとめ

島津氏の歴代藩主はもちろん、篤姫や西郷隆盛など島津藩ゆかりの人物は、五社参りをしていたといわれています。

現在、鹿児島5社は市街地になっていますが、歩いて回れる範囲内にあります。

半日でまわれますので、興味がある方は鹿児島観光に組み入れるのもおススメです。

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