西郷(さいごう)ダムは、宮崎県東臼杵郡美郷町にあるダムです。
福島県にも同名の西郷ダムがありますが、読み方は「にしごう」です。
この記事は、宮崎県の西郷(さいごう)ダムについて書いています。
観光地としての西郷ダム
ダムの下流に、ダム見学のための「西郷ダム広場」があります。
そこにあるのは「永遠(とわ)の鐘」です。
ダムをよく見ると、中央のローラーゲートの上の方に鐘の形のものがあります。
これは、クレーンカバーを鐘の形の装飾したもので、本当の鐘ではありません。
そして、ダムと重なるようにかかる橋を「永遠の橋」といいます。
国道327号線、奥日向路を走る際には、目に留まるスポットです。
クレーンカバーを鐘の形にしたのは、宮崎県北の3つの鐘にちなんでいます。
- 出合いの鐘 ・・・ 延岡市 愛宕山
- クルスの鐘 ・・・ 日向市 日向岬
- 絆の鐘 ・・・ 三郷町 恋人の丘
ベンチのコンクリートは、改造前の西郷ダムから切り出したものです。
当時高価だったコンクリートを節約するため、大きな石を入れてあります。
西郷ダムの歴史
西郷ダムの竣工は、1929年(昭和4年)でした。
耳川水系のダムでは、最初にできたダムになります。
上の写真は、改造前の西郷ダムです。
2011年から改造工事をはじめ、2018年に竣工しています。
主な目的は、貯水池周辺の浸水リスク低減です。
ダム湖に流入する土砂を下流に流すように、ダムの一部を掘り下げ本体も改造を行いました。
これを、「ダムの通砂(つうさ)運用」といいます。
改造前はローラーゲートを8門装備していました。
改造後、ゲートは6門となりましたが、中央の2門が大型化されています。
魚道は今回改造する前からありました。
耳川水系のダム
耳川水系には8つのダムがあります。
どれも個性の強いダムなのが特徴です。
旅行会社が、耳川水系ダムのバスツアーを企画しています。
竣工順にならべます。
西郷ダム さいごう
1929年(昭和4年)竣工
日本初の通砂運用のための改造。
クレーンカバーが鐘の形状。
山須原ダム やますばる
1932年(昭和7年)竣工。
のちに、諸塚ダムを上部池とした、九州初の揚水式発電をすることになりました。
西郷ダム同様、通砂運用のため改造中。
塚原ダム つかばる
1938年(昭和13年)竣工。
竣工当時は東洋一のダムだった。
歴史的土木遺産といわれる、近代化産業遺産。
岩屋戸ダム いわやど
1942年(昭和17年)竣工。
塚原ダムを参考にしたダム。
竣工時期が戦時中なのが珍しい。
上椎葉ダム かみしいば
1955年(昭和30年)竣工。
日本初の大型アーチ式ダム。
大内原ダム おおうちばる
1956年(昭和31年)竣工。
九州初のダム式発電ダム。
(取水式ではなくダム直下に発電所を置く方式)
諸塚ダム もろつか
1961年(昭和36年)竣工。
九州唯一の中空重力式ダム。
同形式のダムは全国でも13基しかない。
宮の元ダム みやのもと
1961年(昭和36年)竣工。
堤高18m。
アーチ式ダムでは日本最小。
諸元
名称 | 西郷ダム |
場所 | 宮崎県東臼杵郡美郷町西郷小原字赤木 |
水系 | 耳川 |
河川 | 耳川 |
型式 | 重力式コンクリート |
事業者 | 九州電力 |
施行者 | 当初 鉄道工業 改造 熊谷組・飛鳥建設・志多組 |
ダム湖 | 西郷調整池 |
目的 | 発電 |
最高出力 (発電) | 27,100kw |
堤高 | 20.0m |
堤頂長 | 84.5m |
堤体積 | 13千㎥ |
流域面積 | 647.8㎢ |
湛水面積 | 40ha |
総貯水容量 | 1,651千㎥ |
有効貯水容量 | 1,128千㎥ |
着手/竣工 | 当初 1920/1929 改造 2011/2018 |