下筌(しもうけ)ダムは、 熊本県小国町と大分県日田市中津江村にまたがるダムです。
松原ダムとの一体運用、 菊池川水系との余水融通、蜂の巣城紛争など特徴の多いダムとなります。
国交省直轄ダム
1953年の昭和28年西日本水害で、 筑後川が大氾濫したのをうけて、計画されたダムです。
下筌ダムのすぐ下流にある松原ダムと同時に造られました。
両ダムは、2つで1つのダムとして一体運用される、全国でも珍しいダムです。
下筌ダムについては、 筑後川水系にある7つのダムの中で唯一のアーチ式コンクリートダムとなります。
ダムの目的
そもそも下筌ダムの目的は筑後川の治水ですが、 多目的に利用されています。
洪水調整 | F | 筑後川の治水 |
不特定利水 | N | 有明海のノリ養殖のため流量維持 |
上水道 | W | 日田市への利水 |
水力発電 | P | 九州電力下筌発電所への送水 |
そのほか、流倒木災害の防除にも一役買っています。
また、 菊池川水系と貯水を融通していて、 広範囲の利水に貢献しています。
蜂の巣湖
下筌ダムによる人造湖は、 蜂の巣湖と命名されています。
計画の過程で巻き起こった大掛かりなダム反対運動 「蜂の巣城紛争」 にちなみます。
小国町の水没地域住民は、 13 年に及ぶダム反対運動を繰り広げています。
その象徴が下筌ダム建設予定地の右岸に築かれた、 蜂の巣城とよばれる砦です。
蜂の巣城というのは、下筌ダムと松原ダムの建設反対派が築いた砦(とりで)です。 13年にも及ぶ紛争は、国の公共事業のあり方を変えることになりました。 室原知幸さん 室原知幸さ[…]
蜂の巣湖では、ヘラブナやサクラマス釣りができるほか、 意外にもバスが釣れます。
蜂の巣湖で釣りをするには、津江漁協の遊漁券を買って入ります。
津江漁協/蜂の巣湖(下筌ダム湖)の遊漁規則
残念ながらボート・フローターでの釣りは禁止です。
しもうけ館
しもうけ館は、蜂の巣湖左岸 (大分県側) にある下筌ダムの資料館です。
蜂の巣城紛争に関する資料を見るなら、まずここを訪れましょう。
開館日 | 土日祝日 |
開館時間 | 10:00~17:00 |
入場料 | 無料 |
場所 | 大分県日田市中津江村栃野 |
諸元
名称 | 下筌ダム |
場所 | 熊本県阿蘇郡小国町黒渕5827-3 |
水系 | 築後川 |
河川 | 津江川 |
型式 | アーチ式コンクリート |
事業者 | 九州地方建設局 |
施行者 | 西松建設 |
ダム湖 | 蜂の巣湖 |
目的 | 洪水調節/河川維持用水/上水道用水/発電 |
最高出力 (発電) | 15,000kw |
堤高 | 98.0m |
堤頂長 | 248.2m |
堤体積 | 282千㎥ |
流域面積 | 185㎢ |
湛水面積 | 200ha |
総貯水容量 | 59,300千㎥ |
有効貯水容量 | 52,300千㎥ |
着手/竣工 | 1977/1986 |
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