山仮屋隧道というのは、宮崎県日南市にあるトンネルです。
山仮屋峠は改良され、切通しの 2 車線道路になっていますが、旧道に隧道が現存しています。
宮崎県初の道路トンネル
山仮屋隧道は、1892 年(明治 25 年)に開通した、宮崎県ではじめての道路トンネルです。
もちろんこの時代には自動車などありません。
ただ、人力車から客馬車への過渡期で、道路改良の必要に迫られていました。
そこで、当時の最先端技術を駆使したトンネルが掘られたのです。
トンネルの内部はレンガ製です。
レンガは大阪から取り寄せたもので、その積み方に特徴があります。
側壁部はイギリス式、アーチ部は長手積みになっています。
これは、当時の最先端の土木技術といわれています。
飫肥街道
山仮屋隆道があるのは、宮崎県道27号宮崎北郷線です。
江戸時代には、飫肥(おび)城のお殿さまが参勤交代で通る飫肥街道でした。
とはいっても峠を越える難所で、山仮屋隧道が最高点 358mとなります。
現在は、ひむか神話街道となっています。
仮屋というのは昔の関所のことで、地名はその名残です。
通行止め
昭和の終わりごろ、県道27号線は改良されています。
山仮屋隧道の脇に、山を開削して2車線の道路が開通しました。
それ以降、山仮屋隧道を通る車はいなくなりました。
現在は、隧道部分だけが通行止めとなっています。
ただし、歩いて通る分には支障なく、内部のレンガも見学することができます。
1998年(平成 10年)には、宮崎県の有形文化財に指定されています。
鬼の住処
山仮屋隧道ができる前の、山仮屋峠は「鬼の住処(すみか)」といわれていました。
峠に表れる人斬りは、街道を通る通行人を老若男女問わず切り付け、首を持ち去っていたといいます。
1851年には、その犠牲者が100名を超えました。
さらに、飫肥藩の役人数名が四肢を切断、首を奪われる事件が発生しています。
現在、山仮屋峠に集落はありませんが、江戸時代までは山科集落という小さな集落がありました。
これを機に飫肥藩では、山科集落を中心に大規模な山狩りを行います。
しかし、事件に関する情報や証拠は全くみつからなかったという伝説があります。
場所 宮崎県日南市北河内
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