阿蘇山ロープウェイは、かつて熊本県阿蘇市にあった索道路線です。

阿蘇山西駅と火口西駅を結び、火山活動の続く中岳火口を見学する観光客を運んでいました。
火山のリスク

阿蘇山ロープウェイは、1958年 (昭和33年)に運行をはじめています。

阿蘇は熊本を代表する観光地で、九州のみならず全国、いや世界中から人々が集まります。

なかでも中岳山頂は、活火山の火口を見学できる集客の中心です。
最盛期には、年間57万人もの人がロープウェイを利用しています。

しかし、噴火活動の活発化から、2014年(平成26年)8月を最後に運行できずにいました。

さらに、2016年4月の熊本地震、10月の大噴火とダブルで被災しています。

2018年 (平成30年)に運行再開を断念し、駅舎と支柱及び架線の撤去を決めました。

ただし、この時点では解体後に再建する方針でした。
阿蘇山ロープウェー – Wikipedia
しかし、その後も度重なる噴火で工事すらままならず、2019 年 (令和元年)に再建を断念しています。

阿蘇西駅
阿蘇山ロープウェー – Wikipedia
阿蘇西駅は、現在阿蘇山上ターミナルの建つ場所にあった、2階建ての円形の建物です。

阿蘇山ロープウェイは、一貫して九州産交グループが運営していました。

ロープウェイ廃止後は代替として、阿蘇山火ロシャトルというバスを運行しています。

火口西駅
阿蘇山中岳の第1火口では9日も噴煙が300メートルほど上がるなど、活発な火山活動が続いています。写真は噴火に伴う噴石で屋根に穴が開いたとみられる阿蘇山ロープウェーの火口西駅の駅舎です。(読売新聞)https://t.co/uXOO13Sm2R pic.twitter.com/H6jee2cGUF
— 東洋経済オンライン (@Toyokeizai) October 9, 2016
火口にあったのが火口西駅でした。

解体前には火山活動により満身創痍だった火口西駅跡には、避難施設を建設中です。

すでに、ロープウェイの痕跡は何一つ残っていません。

阿蘇山

阿蘇山というと、狭い意味では現在も活動している中岳をイメージします。

しかし通常は、阿蘇五岳を指します。

広い意味では外輪山も含み、その周囲は128kmにもおよびます。

阿蘇カルデラの中には米塚や草千里など、無数の火山活動の跡がみられます。

根子岳 | 1433m |
高岳 | 1592m |
中岳 | 1506m |
烏帽子岳 | 1337m |
杵島岳 | 1326m |

火口見学

阿蘇山の特徴は、現在も活動を続ける火口に、観光目的で近づくことができることです。

桜島や霧島の新燃岳が入山規制されるなかで、他の活火山と一線を画します。

もちろん、中岳も活動が活発化したり、有毒ガスが発生すると入山は規制されます。

しかし、活動が穏やかな時は、火口まで行くことができます。

火口の見学時間
夏季 3/20~10/31 | 8:30~18:00 | 閉門 17:30 |
秋季 11/1~11/30 | 8:30~17:30 | 閉門 17:00 |
冬季 12/1~3/19 | 9:00~17:00 | 閉門 16:30 |
阿蘇山上広場から火口へ行けるのは、噴火レベル1(平常)の時のみです。

2以上になると、火口周辺は立入禁止です 。

噴火レベル1でも、火口付近に有毒ガスが発生した場合は規制されます。
火口まで行くには
山頂へ行く方法は3つあります。

火口付近は多少なりとも火山ガスがあるので、疾患がある人や体調が悪い人は登らないようにアドバイスされます。

喘息の方は火口見学は禁止されています。
マイカー

自分で運転して来た人は、阿蘇山公園有料道路を通ります。

車輛1台について料金を払えば往復できるので、とてもお得です。

二輪車 | 200円 |
軽自動車 | 600円 |
普通車 | 800円 |
シャトルバス

大人(中学生以上) | 片道 500 円 |
子ども(小学生以下) | 片道250円 |

ロープウェイの代替事業としてはじまったのがシャトルバスです。

主に路線バスで来た人や、火口まで行けない大型バスで来た人が利用します。

徒歩

トレッキング目的で来た人は、歩いて登っています。

歩いて登ると無料ですが、1.5kmで20分ほどかかります。

しかも、高低差が110m あります。

場所 熊本県阿蘇市黒川

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