飯倉神社は、鹿児島県南九州市川辺町にある神社です。
現在も川辺町を代表する神社ですが、かつては川辺郷の総鎮守で、規模が極めて大きい大社でした。
川辺のオオクス
社地の入口にあるのは、ご神木となる川辺のオオクスです。
推定樹齢1200年、根の周囲は22m、高さ25mの大木となります。
幹が2本あるように見えるのは、落雷で幹が裂けたためです。
歴史
和銅年間(708年~715年)に、現在地より南西約2kmにある飯倉山上で創建しています。
1247年に、加世田郷宮原村の一社と阿多郷宮崎村の一社とを合祀して、現在地に遷座したものと伝えられます。
そのため現在地に遷座後は、飯倉新宮三所大明神といっていました。
略称は、飯倉大明神でした。
川辺郷の総鎮守であり、規模が極めて宏大で多数の崇敬者を擁する大社であった記録があります。
一の鳥居から二の鳥居までは約100mもあり、大社であったことが計り知れます。
境内
境内にある、由緒説明の看板です。
境内には古い石造物が、多く残されています。
もはや銘文も読めないほど摩耗した手水鉢です。
神仏習合時代の五輪塔でしょうか?
ほかにも多くの石塔群が見られます。
一面に苔むした地面です。
1797年(寛政9年)の碑文が残る石塔です。
その礎石には、石像があります。
飯倉神社は、過去数度の火災に見舞われています。
そのため社宝や記録の多くを焼失していますが、境内の石造物が歴史の古さを物語っています。
極めつけは、摩耗した狛犬です。
ご祭神
東宮
大綿津見神(おおわたつみのみのかみ)
玉依姫命の父神で、海の神さまとされます。
中宮
玉依姫命(たまよりひめのみこと)
かつて川辺を治めていた神さまです。
配偶神は、鸕鶿草葺不合尊(うがやふきあえずのみこと)で、日本の初代天皇である、神武天皇の母神になります。
西宮
倉稲魂命(うかのみたまのみこと)
稲に宿る神秘な霊とされます。
全国的に、稲荷神社で主祭神とされていることが多い神さまです。
境内神社
淡島神社
淡島神社のご祭神は、少彦名命(すくなひこなのみこと)となります。
多くのご利益がありますが、ひとことでいえば健康の神さまです。
門守神社
門を守り、災厄を払う神さまです。
こちらの門守神社のご祭神は、豊石窓命(とよいわまどのみこと)となります。
こちらの門守神社のご祭神は、櫛石窓命(くしいわまどのみこと)です。
玉依姫命の陵石?
駐車場の隅には陵石があります。
陵石についての詳しい説明書きはありませんでした。
玉依姫命の陵墓は、宮崎県日南市にも言い伝えがあります。
しかし、玉依姫が治めた川辺郷の総鎮守という流れからして、飯倉神社駐車場の陵石は、玉依姫命の陵石としか考えられません。
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