軍谷隧道(いくさだにずいどう) 須木側入口

軍谷隧道 旧道となり50年経過後も現役隧道として活躍

軍谷隧道(いくさだにずいどう)は、宮崎県小林市の軍谷峠を越えるトンネルです。

軍谷隧道(いくさだにずいどう) 須木側

九州を代表する酷道(国道)265号線の、さらに旧道区間にある現役トンネルです。

スペック

軍谷隧道(いくさだにずいどう) 小林側
竣工1955年 (昭和30年)
全長190m
標高587m
軍谷峠

軍谷隧道完成前の軍谷峠は、小林市と須木村の間にある難所でした。

軍谷隧道(いくさだにずいどう) 銘板

竣工当時は、国道265号線としての指定はうけていません。

軍谷隧道(いくさだにずいどう) 内部

国道昇格は、1963年(昭和38年)のことです。

軍谷隧道(いくさだにずいどう) 照明ののない内部

当時はそのほとんどが未舗装区間だったといいます。

軍谷隧道 須木側

軍谷バイパス

国道265号線 小林市新軍谷

軍谷隧道区間は 1972年 (昭和47年)にバイパスが完成しています。

新軍谷トンネル

新軍谷トンネル (1,088.5m) の竣工により、軍谷隧道区間は旧道となりました。

新軍谷トンネル 銘板

今となっては小林から須木へは、難なく行くことができます。

軍谷隧道(いくさだにずいどう) 須木側の景色

この旧265号線区間は、バイパス完成後廃道となるどころか、のちに未舗装区間が舗装されています。

軍谷隧道 延命改修工事個所

しかも、軍谷隧道にいたっては、長寿命化修繕工事が行われています。

軍谷隧道 延命改修工事個所

幹線道路としての役目は終えましたが、活躍の道は閉ざされていません。

軍谷隧道

旧道区間

国道265号線 軍谷隧道入口

小林側から旧道に入ろうとしたところ、入口にはバリケードが張られています。

国道265号線 軍谷隧道入口

先日の雪で通行止めにした名残りでしょうか?

旧国道265号線 軍谷隧道区間の鹿ネット

標高900mまで雪が溶けているのは確認済みですが、峠までは2㎞程度なので念のため歩いて登ってみます。

旧国道265号線 軍谷隧道区間

旧道入口の標高が403m、隧道が587mなので、標高差は184m、それほど苦行ではありません。

旧国道265号線 軍谷隧道区間のNTTドコモ鉄塔

途中にはNTTドコモの鉄塔があり、携帯電話は街中よりもアンテナが立ちます。

旧国道265号線 軍谷隧道区間のカーブミラー

落石や倒木はあるものの、道路状態は想像以上によく、カーブミラーもピカピカです。

旧国道265号線 国有林支線の分岐

鹿ネットや国有林の支線分岐があるため、林道代わりに管理されているのがわかりました。

旧国道265号線 軍谷隧道区間

何より、新軍谷トンネルの恩恵が体感できます。

旧国道265号線 軍谷隧道区間の倒木

国道265号線

国道265号線標識 西米良村尾股

国道265号線は、九州山地を縦断する九州でも有名な酷道でした。

国道265号線 西米良村尾股

なお南部は、現在も未改良区間が連続しています。

国道265号線 西米良村尾股

特に、西米良村板谷から田代八重ダムへ抜ける、尾股峠区間は狭隘(きょうあい) 道路として知られます。

旧国道265号線 軍谷隧道区間のガードレール

さらに田代八重から須木へ抜ける輝嶺(きれい) 峠区間は、もう何年も通行止めで復旧する気はないとしか思えません。

旧国道265号線 軍谷隧道

酷道265号線の最南部となる、 須木村から小林市街へ向かう区間にあるのが軍谷峠です。

旧国道265号線 軍谷峠

軍谷(いくさだに)

旧国道265号線 軍谷隧道内部

軍谷(いくさだに)という地名から想像するのは、戦国時代の戦乱です。

旧国道265号線 軍谷隧道内部

このあたりは、日向国・伊東氏と薩摩国・島津氏が激しく争った経緯があります。

旧国道265号線 軍谷隧道からの景色

そうでなくても、以前から須木には多くの城があり、地頭どうしが領地争いをしていたと想像できます。

宮崎県小林市 軍谷(いくさだに)

おそらく古戦場だったことから、軍谷とよばれるようになったのではないでしょうか?

宮崎県小林市 軍谷(いくさだに)

場所 宮崎県小林市須木下田

宮崎県小林市 軍谷(いくさだに)隧道

関連記事

【関連記事】ままこ滝 小野湖にそそぐ須木の滝にまつわる表と裏の伝説

【関連記事】久峯隧道 コツコツトンネルの異名で全国に知れ渡る心霊スポット

【関連記事】山仮屋隧道 飫肥と宮崎を結ぶ飫肥街道にある宮崎最古の道路トンネル

【関連記事】旧矢立隧道 封印された宮崎県トップクラスの心霊スポット

【関連記事】六ヶ村城トンネル 中世の銘山城・六ヶ村城と消された廃城後の歴史