岩屋戸ダムは、宮崎県東臼杵郡椎葉村にある、重力式コンクリートダムです。

昭和初期の最先端技術を投入し、戦時中に竣工しています。
耳川本流のダム

岩屋戸ダムは、耳川の本流にあるダムです。

耳川にあるダムを、上流から順番に並べてみます。

| ダム名 | 竣工年 | 特徴 | 
| 上椎葉ダム | 1955年(昭和30年) | 日本初の大型アーチ式ダム | 
| 岩屋戸ダム | 1942年(昭和17年) | 戦時中竣工 | 
| 塚原ダム | 1938年(昭和13年) | 竣工当時堤高東洋一 | 
| 山須原ダム | 1932年(昭和7年) | 昭和初期竣工 | 
| 西郷ダム | 1929年(昭和4年) | 平和の鐘 | 
| 大内原ダム | 1956年(昭和31年) | 九州初のダム式発電 | 
6つの個性あるダムが、65年前には揃っていました。

いずれも水力発電が主目的であり、電力会社が昭和初期から着目していたのがわかります。

地味な印象のダム?

岩屋戸ダムの上流には、日本初の大型アーチダムで名が通る、上椎葉ダムがあります。

下流は、戦前の近代化土木遺産、塚原ダムです。

いずれも、九州電力が社運をかけた大事業でした。

間にはさまれた岩屋戸ダムは、塚原ダムで得た技術をもとに造られたダムなのです。

となりの両ダムに比べ、派手さはありません。

天端へ入れず、国道 218号線からの見学ポイントも限られています。

したがって写真も撮りにくいため、耳川水系のダム中では地味な立ち位置のダムとなります。

戦時中に竣工

塚原ダムは、当時の最先端技術を投入した、堤高日本一のダムでした。

岩屋戸ダムは、塚原ダムで培った最先端技術を投入したダムです。

1938年(昭和 17年)、戦時中に竣工しています。

岩屋戸発電所では、最大出力 50,000kw の発電を行っています。

諸元
| 名称 | 岩屋戸ダム | 
| 場所 | 宮崎県東臼杵郡椎葉村大字下福良 | 
| 水系 | 耳川 | 
| 河川 | 耳川 | 
| 型式 | 重力式コンクリート | 
| 事業者 | 九州電力 | 
| 施行者 | 間組 | 
| ダム湖 | 岩屋戸ダム調整池 | 
| 目的 | 発電 | 
| 最高出力 (発電)  | 50,000kw | 
| 堤高 | 57.5m | 
| 堤頂長 | 171.0m | 
| 堤体積 | 145千㎥ | 
| 流域面積 | 355.7㎢ | 
| 湛水面積 | 39ha | 
| 総貯水容量 | 8,309千㎥ | 
| 有効貯水容量 | 6,358千㎥ | 
| 着手/竣工 | 1920/1941 | 
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