かごしま黒豚 なぜおいしいのか?代々の関係者の英知と努力の結晶

最近は、全国的にも鹿児島といえば「黒豚」、というイメージが定着してきたと思います。

しかし、かごしま黒豚が一般的な豚肉とくらべて、何がどう違うのかまでは知られていないと思います。

そこで、ブランド豚の頂点「かごしま黒豚」について調べてみました。

かごしま黒豚の歴史

鹿児島で黒豚が飼育されるようになったのは、約400年も前のことです。

島津第18代藩主、家久公により、琉球(現在の沖縄県)から薩摩(現在の鹿児島県)に持ち込まれました。

明治時代に入ってから、イギリスから導入したバークシャー種と交配するなど、品種改良が進みました。

もともとおいしかった黒豚のお肉が、さらにおいしくなりました。

東京に出荷されるようになったのは、1950年(昭和25年)前後のことです。

鹿児島県産の黒豚は、安定した品質とうまさが認められるようになります。

1960年代には、「かごしま黒豚」というブランドが確立していました。

黒豚は高品質ですが、実は白豚のほうが、多くの肉がとれて成長も早く、経済効率が高いのです。

全国的には、1950年代から白豚の生産が普及し、黒豚の飼育頭数は減少しています。

そんななか、鹿児島県は世の風潮に流されることなく、肉質の良い黒豚飼育に取組み続けています。

その後も、品種改良により、高品質の血統を構成してきました。

こうして、鹿児島県は国内最大の黒豚産地となっています。

かごしま黒豚ブランド

鹿児島で育った黒豚なら、なんでもかんでも「かごしま黒豚」と名乗れるわけではありません。

「かごしま黒豚」と表示するためには、厳しい基準があります。

バークシャー種の血統豚

1回の出産数が少なく発育が遅いという、生産者から見れば経済上の不利な品種です。

しかし、高品質のお肉がとれる有利な品種です。

血統ももちろんですが、飼育するときも他品種と混ぜて飼ってはいけないことになっています。

さつまいもを与えて飼育

肥育後期に、甘しょ(さつまいも)を10%から20%添加した飼料を、60日以上与えることになっています。

これにより、脂肪の質が向上し、さっぱりした食感でしまりのある肉質となるといわれています。

また、赤肉の脂肪の中に、ビタミンEが増加することがわかっています。

肥育期間

出荷日齢は230日から270日というのが基準となっています。

これは、一般的な豚とくらべて、1.2倍から1.5倍となります。

じっくりと育てることにより、より引き締まった肉質となります。

肉質の特徴

かごしま黒豚のお肉には、次のような特徴がみられます。

  1. 肉の繊維質がきめ細かい
  2. 保水性が高く、脂肪組織の水分含有量が少ない
  3. 中性糖やアミノ酸などの、うまみ成分が多く含まれる
  4. 脂肪の溶ける温度が高い

食味や食感

かごしま黒豚のお肉にを食べた時には、次のような特徴がみられます。

  1. 食べた時に、歯切れがよくやわらかい
  2. 肉質がしまり、みずっぽさがなくジューシー
  3. 甘みを感じられ、うまみが多い
  4. 脂がべとつかず、さっぱりしている

科学的データで実証

食感やうまみは、人によって感じ方に差があります。

鹿児島大学や県畜産試験場などが行った研究データでは、肉質を科学的な数値で実証されています。

鹿児島県黒豚生産者協議会

まとめ

かごしま黒豚は、鹿児島県独自で、長い年月をかけて改良されてきたブランド豚です。

かごしま黒豚を名乗るには、きびしい飼育基準があります。

かごしま黒豚は、おどろくほどおいしいのが、食べてみればわかります。

おいしさのデータは、科学的にも実証されています。

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