南さつま市立久木野(くきの)小学校は、かつて南さつま市加世田津貫にあった公立小学校です。
国道270号線沿いの南北に細長い地域が校区でした。
校区
久木野小学校は、旧加世田市街と枕崎市街の中間あたりに位置します。
水系で分けると、花渡川(けどがわ)の上流域です。
花渡川というのは、磯間嶽 (いそまだけ・363m)を水源とし、枕崎市で東シナ海にそそぐ11.5 kmの2級河川です。
同じ津貫地区でも北部の加世田川水系が旧加世田市へ向かって流れるのに対し、花渡川は枕崎市へ向けて流れます。
久木野地区では、ホタルが飛び交う姿をみることができます。
毎年5月に「ホタルとメダカのコンサート」を開催しています。
久木野小学校も「ホタルとメダカのがっこう」と自称していました。
閉校記念碑
出迎えてくれたのは、たくさんの記念碑でした。
閉校記念碑は、4体1組の豪華版です。
碑文によると、134年間に5,140名あまりの卒業生を送り出しています。
校訓、沿革および校歌の碑まででワンセットになっています。
門柱
これまた立派な石造門柱が残されています。
碑文は読み取りにくくなっていますが、大正時代に学校の使用人さんが建てたようなことを書いてあります。
石碑群
島津忠良公にちなむ「いろは歌」の碑は、南さつま市の小学校にみられる特徴です。
閉校記念碑の裏面、ホタルとメダカとビオトープが描かれています。
最終年度の在校生による閉校記念作品、こちらも「ホタルとメダカの久木野小」と書いてあります。
創立100周年記念碑です。
1981年(昭和57年)に設置されたものです。
卒業記念の石碑の数々です。
ビオトープ
久木野小学校の特徴のひとつは、校内の湧き水が流れるビオトープでした。
休み時間の遊び場としてだけでなく、理科の学習にも利用されています。
ところで、ビオトープっていったい何?
ビオトープとは?
ビオトープとは、ドイツ語の合成語で「いろいろな野生の生きものが暮らせる場所」を意味します。
自然環境教育の場としての活用を目的に作られた学校ビオトープは、子どもたちが生きた自然に触れられる場となります。
恥ずかしながら、今回はじめて知りました。
全面芝生の運動場
運動場の芝生は、閉校後に広がって全面を覆ったわけではありません。
2010年(平成22年)に、全面芝生化工事をしたものです。
敷物なしで座れるし、砂ぼこりがまわないのですが、美しく保つには手入れは大変です。
現在も美しいのは、手入れが行き届いている証拠です。
土俵の砂像
土俵があるのも、久木野小学校の特徴です。
子どもたちが去った今は、砂像が数体上って居います。
もちろん、「吹上浜砂の祭典」にちなむものです。
そして、プールに浮かぶのは太陽光発電パネルです。
体育館
体育館の入口には、イチョウとセンダンの大木が並びます。
色合いも校舎との統一感がハンパなく、景観への配慮が徹底的です。
ちょっと中ものぞいてみました。
沿革
1881年(明治14年) | 津貫小学校久木野分教場として創立 |
1892年(明治25年) | 久木野尋常小学校として独立 |
1922年(大正11年) | 久木野尋常高等小学校へ改称 |
1941年(昭和16年) | 久木野国民学校へ改称 |
1947年(昭和22年) | 加世田町立久木野小学校へ改称 |
1954年(昭和29年) | 加世田市立久木野小学校へ改称 |
2005年(平成17年) | 南さつま市立久木野小学校へ改称 |
2015年(平成27年) | 南さつま市立加世田小学校へ統合し閉校 |
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