三角(みすみ)西港は、熊本県宇城市三角町にある港です。
現在、三角港といえば、新港である三角東港を指します。
三角西港は、いわば三角旧港ということになります。
レトロ写真を撮るスポット
三角西港は、世界遺産登録で観光整備がすすみ、明治時代を思わせる景観がよみがえりました。
ドラマや映画のロケ地となり、聖地巡礼スポットとしての知名度も高くなりました。
NHKドラマ「坂の上の雲」 | 2009~2011年 |
映画「るろうに剣心 京都大火編・伝説の最期編」 | 2014年 |
フジテレビ三谷幸喜脚本ドラマ「オリエント急行殺人事件」 | 2015年 |
なんといっても、SNSの写真撮影スポットとして、多くの人が集まっています。
世界遺産
三角西港は2015年(平成17年)に、世界遺産として登録されています。
三角西港を含め 23 の産業遺産が、まとめて世界遺産に登録されたものです。
その名も、「明治日本の産業革命遺産製鉄・鉄鋼・造船・石炭産業」です。
内訳は以下の通りとなります。
三角西港は、石炭産業で日本の重工業化に貢献した港として世界遺産に登録されています。
三池炭鉱で生産された石炭の一部は、三角西港まで運ばれ中国の上海へ輸出されていました。
明治の三大築港
三角西港は、明治時代につくられた近代的港湾施設です。
明治時代の三大築港といわれています。
野蒜築港(のびるちくこう) | 宮城県東松島市 |
三国港 | 福井県坂井市 |
三角西港 | 熊本県宇城市 |
設計にあたっては、オランダ人技師、ムルドルを起用しました。
施工には地元天草の石工があたりました。
西洋の近代的築港技術と日本の伝統的石工技術が融合した、明治時代ならではの景観に仕上がっています。
開港後は、米、麦、石炭、硫黄などの輸出港となり、九州西海岸の貨物の一大集散地となりました。
三角西港の建築物
浦島屋
浦島屋は、明治時代中期の旅館です。
洋風の木造建築となっています。
現在は、休憩所・カフェ・展示場などとして活用されています。
龍驤館
龍驤館(りゅうじょうかん)は、明治天皇即位 50周年記念事業として、1918 年(大正7年)に建てられています。
公会堂や図書館として使われていました。
現在は、三角西港の歴史および世界遺産のガイダンス施設になっています。
龍驤というのは、肥後藩献上の軍艦「 龍驤 」にちなんでいます。
旧三角海運倉庫
三角海運倉庫というのは、埠頭沿いにある土蔵造りの荷揚げ倉庫です。
現在はカフェレストラン西港明治館になっています。
ムルドルハウス
ムルドルハウスというのは、洋風建築の物産館のことです。
ムルドル というのは、三角西港を設計したオランダ人技師の名前にちなんだものです。
旧高田回漕店
回漕店というのは、現在でいう運送会社と商社を併せ持ったお店のことです。
船や荷馬車を持ち、旅客貨物両方を扱っていました。
旧三角簡易裁判所
三角簡易裁判所は、1992年(平成4年)まで、現役で使われていた裁判所です。
裁判所が移転した後、「法の館」という司法の仕組みを理解する施設となっています。
旧宇土郡役所庁舎
宇土郡役所は、明治時代に役所として建てられた擬洋風建築物です。
閉庁後は九州海技学院の校舎として使われていました。
現在も日本船舶職員養成協会(JEIS)が事業を引き継ぎ、講習をしています。
石積埠頭
三角西港の埠頭は、すべて切り出した石材でつくられています。
現在も当時の姿を残していています。
西側に天草一号橋を望み、正面には大矢野島が見えます。
三角半島と上天草島の間の海峡を、三角の瀬戸といいます。
排水路
排水路は満潮時には海水を引き込み、干潮時には排水する設計です。
3面石張りの見事な石積み排水路です。
三角西港展望所
三角西港を一望する展望所は、西港を少し違う視点から見てみたい方にオススメです。
旧三角簡易裁判所の裏に、自然歩道の入口があります。
案内に沿って歩道を登ると、10分足らずで展望所です。
西港の駐車場からだと20分くらいかかりますので、運動にもなります。
新港の発展
三角西港を旧港というのに対し、三角東港を新港とよんでいます。
海沿いには海運倉庫が立ち並び、とても繁栄した西港ですが、周辺に山が迫り拡張性に乏しい地形でした。
そのため三角東港が整備されます。
1899年(明治32年)に三角線が完成すると、当初西港までは引き込み線がひかれました。
しかし、次第に東港へ人も物も移動していき、西港は急に衰退していくことになります。
当時の施設がほぼ原形に近い形で残るのは、早い時期に新港へ機能が移ったためです。
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