大切畑(おおきりはた)ダムは、熊本県西原村にある、熊本県が管理するアースダムです。

2016年(平成28年)の熊本地震で被災しており、復旧工事が行われています。
大切畑ため池

大切畑ダムによるダム湖は、大切畑ため池です。

実は、大切畑ため池は、1859年から存在する農業かんがい用のため池です。

肥後国熊本藩主であった細川氏は、ため池や用水路の整備を進めています。

このあたりの農地は畑が中心だったのですが、江戸時代に島子川に大切畑ため池がつくられ、用水路がつくられました。

江戸時代からかんがい目的の堰があり、歴史あるため池なのです。

戦後になり、改修で建設されたのが、大切畑ダムです。

1970年(昭和45年)に着工し、1975年(昭和50年)に完成しています。

熊本地震で被災

2016年(平成28年)の熊本地震のさいには、大切畑ダム周辺も大きな揺れが発生した地域です。

熊本地震後、大切畑ダムは決壊の恐れがあるとして住民に避難勧告がだされました。

後の調査で、決壊の恐れはないことがわかっています。

しかし、分水施設が被災しており、大量に漏水したため貯水位が低下しました。

新大切畑ダム

熊本地震後の調査で、大切畑ダムの提体直下に断層がみつかっています。

断層を避けるため、現在は元の位置より 270m上流側に移設して建設中です。

2024年(令和6年)の供用再開に向け、工事がすすめられています。

これにより、貯水量は2割ほど減少します。

しかし、当初のダム竣工当時からすると、受益の農地も2割ほど減少していて、役不足になることはないそうです。

諸元

名称 | 大切畑ダム(旧) | 大切畑ダム(新) |
場所 | 熊本県阿蘇郡西原村小森 | |
水系 | 白川 | |
河川 | 鳥子川 | |
型式 | アース | |
事業者 | 熊本県 | |
施行者 | 熊谷組 | 熊谷組・杉本・藤本・肥後JV |
ダム湖 | 大切畑ため池 | |
目的 | かんがい用水 | |
最高出力 (発電) | ー | |
堤高 | 23m | 29.0m |
堤頂長 | 125m | 237.7m |
堤体積 | 74千㎥ | 820千㎥ |
流域面積 | 11.6㎢ | |
湛水面積 | 9ha | |
総貯水容量 | 851千㎥ | |
有効貯水容量 | 720千㎥ | 600千㎥程度 |
着手/竣工 | 1970/1975 | 2019/2024 |
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