蒼林閣というのは、かつて鹿児島県霧島市にあった、大規模宿泊施設です。
廃業して40年前後経過していますが、跡地には現在も痕跡が残っています。
丸尾自然探勝路
霧島温泉郷というのは、霧島連山の南西麓にある温泉の総称です。
霧島温泉の中心地・丸尾温泉の北側に、丸尾自然探勝路という山道が整備されています。
入口の霧島温泉最古の岩風呂の「目の湯」が目印です。
丸尾自然探勝路の経路案内の看板を見ると、沿道に大きな宿泊施設が写っています。
これこそ、在りし日の蒼林閣の航空写真です。
丸尾自然歩道には、石畳が敷き詰められています。
分岐点には案内標識が建てられているので、迷うこともないはずです。
硫黄谷温泉
丸尾自然探勝路入口から、鹿児島県道1号線・えびのスカイラインをさらに北上すると、硫黄谷温泉となります。
硫黄谷には噴気地帯が広がります。
蒼林閣への正規のアクセス道路は、噴気地帯の南側となります。
宿泊棟
蒼林閣は、霧島温泉郷でも古株の大規模施設でした。
周辺に鉄筋コンクリートの大規模ホテルが完成する中、1980年(昭和55年)には閉業しています。
その後は、会社の寮として使われていたこともありましたが、それも放棄されることになります。
転用されることも、解体されることもなく数十年が経過します。
多くの観光客が訪れる霧島温泉ですが、 蒼林閣の営業していた当時の記憶を残す方は少なくなっています。
唯一、コンクリート造の宿泊棟が自立していますが、内部はこの通りです。
比較的片付いた客室もありますが・・・
大荒れに荒れた客室もあります。
主棟
木造の主棟をさがしてみましたが、倒壊し資材の山となっています。
蒼林閣は、庭園が自慢の旅館でした。
しかし、一帯を樹木が覆いどこが庭園だったのかわかりません。
庭園と推測される場所は、完全にヤブの中です。
しかも、簡単に移動することもできません。
すでに、基礎の一部は樹木と一体化しています。
温泉施設
温泉施設は鉄骨のため、自立しています。
しかし、屋根や壁はこの通り崩れ落ちています。
しかし、コンクリート造の部分は健在でした。
なんと、洗面器が残っています。
多くの観光客が入浴した浴槽です。
ホバークラフトのおもちゃで遊んだ子供たちは、現在はアラフィフ世代のはずです。
全容を確認することはできませんでしたが、規模の大きさは垣間見ることができました。
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