享保(きょうほ)水路太鼓橋というのは、宮崎県えびの市にある石橋です。

農業かんがい用水を、対岸に渡す水路の役割を果たします。
享保水路

享保水路は、川内川の上流域から取水し、飯野の田園をかんがいする用水路です。

1733 (享保17年)に完成したため、その名がついています。

飯野一帯は土地がありながらも、水がなかったため享保水路が計画されています。

重機もない時代に山沿いを通すため、5つの隧道が掘られる難工事でした。

現在も活躍している現役の用水路です。

全長 6.8kmの享保水路は、飯野地区の150haの田んぼに水を送っています。

水路橋

享保水路は有島川を横切るため、当初は木製の水路がかけられていました。

ところが流量が限られるだけでなく、洪水のたびに流されていました。

そこで、1850年に石造橋が架けられたものです。

以来、洪水で流されることはなくなり、安定した米作りができるようになりました。

水路橋で有名な熊本県の通潤橋は、橋の内部に水路が通してあります。

一方、太鼓橋は橋上の中央に水路が通されていて、目視で確認できます。

スペック

橋長 | 34m |
橋幅 | 8.8m |
水路幅 | 1m |

災害

太鼓橋は、2022年(令和4年)の台風14号で被災しています。

太鼓橋の水路の両側は、東 (上流) 側 3.5m、西 (下流) 側 4.5mの農道として利用されています。

2023年(令和5年)1月の時点で、東 (上流) 側の道路は、一部が崩落していて通行できません。

対岸に渡る場合は、西(下流)側の道路を使います。

石床頭首工

石床頭首工というのは、享保水路の取水口の堰です。

クルソン峡を登っていくと林道からみえるので、いやでも気づきます。

現在の頭首工は、1906年(明治39年)の大改修で造られたものです。

管理するのは上方土地改良区となります。

場所 宮崎県えびの市大河平

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