不動岩 (ふどうがん)というのは、熊本県山鹿市にある奇岩です。
その風容はまるで、気の遠くなるような年月をかけて、自然が創り出した芸術作品です。
山腹に見える奇岩
一本松公園に石のかざぐるまを見に行った時気付いたのですが、山腹に奇妙な岩が見えていました。
不動岩というらしく、次回、山鹿を通る際には必ず寄ってみようと思っていました。
近づいてみると想像以上に高い位置にあり、途中の道も狭い急坂です。
しかし、上まで登ると駐車場が整備され、トイレもあります。
ただ、時間帯が悪かったのか、カギがかかりトイレには入れませんでした。
不動岩展望台
この駐車場は、展望台になっています。
素晴らしい景色ですが、天気が悪いのが悔やまれます。
奥へ進むと不動岩の根元へ行くことができます。
遠くから見るとしっかりした岩に見えましたが、近くで見ると不動岩は小石と砂のかたまりです。
根回りは10mに対し、高さは80mといいます。
しっかり固まり、熊本地震でも崩れなかったので、強度は大丈夫でしょう。
それにしても、自然にできたとはにわかに信じがたい、 特徴的な風景です。
不動岩の形成
古生代に形成された、変はんれい岩が少しずつ風雨で浸食し、海に堆積します。
海水に洗われ丸い小石や砂になり、海底に積み重なると強い圧力受けて、岩盤になります。
この状態を礫岩(れきがん)といい、一般にさざれ石とよばれます。
さらに周囲が削れていったことで、現在の不動岩ができあがっています。
書いてみると4行ですが、この間数億年の年月が必要です。
なぜ不動岩というのか?
不動岩は、平安時代に山伏たちの修験場だったといわれています。
山伏たちの信仰する不動明王の本尊があり、現在は不動神社となっています。
このため、不動岩とよばれるようになったといいます。
不動岩は、前不動・中不動・後不動と3つの岩から成ります。
一般の人が前不動に登るのはムリですが、中不動と後不動には遊歩道が設置され、登ることができます。
不動岩の伝説
不動岩と彦岳は義兄弟で、母は継子の彦岳には、まずい大豆やそら豆ばかりを食べさせていました。
一方、実子の不動岩には、おいしい小豆を食べさせ、大事に育てました。
いよいよ遺産相続をさせる時、綱引きで勝った方に、財産を相続させることにしました。
小豆ばかり食べていた不動岩は、最後のふんばりがきかず、彦岳に負けてしまいました。
しかも、不動岩はハデに負けたため首が吹っ飛び、その傷口から血が流れたため、周辺は赤土になりました。
綱引きで盛り上がった場所が震岳で、山頂のくぼみは綱引きの跡、さらにふっとんだ岩が首石岩です。
場所 熊本県山鹿市蒲生
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