桜島ふるさと観光ホテルは、かつて鹿児島市古里町にあったホテルです。
桜島の南麓の海岸沿いにあり、国道 224 号線・通称「溶岩道路」から見えています。
海辺の龍神露天風呂
ふるさと観光ホテルの魅力は、龍神が住むという絶景の露天風呂でした。
ホテル下の海岸に、錦江湾を望む露天風呂がありました。
混浴だったのですが、白装束の湯浴み着を着て入浴するシステムでした。
桜島の火山活動
桜島は歴史的にも大噴火を起こしていますが、古来よりの有人島で人類と火山が共生してきました。
最近では、2009年(平成21年)から 2012年(平成24年)にかけて、昭和火口の活動が活発化しています。
島内では火山活動と降灰の影響から、観光客が減少した時期もありました。
沿革
ふるさと温泉ホテルがあったのは、1755年に開湯した古里温泉です。
そのころは、溶岩の隙間から自然に温泉がわき出していたといいます。
ふるさと観光ホテルは、1935年(昭和 10年)創業の老舗でした。
それが、古里温泉のなかでは、最大規模の施設へ成長します。
2000年になる以前は、多くの観光客が訪れ桜島観光のシンボル的な存在でした。
ただ、難点は降灰があるとホテルのウリである、露天風呂が使えなくなることでした。
2010年前後の昭和火口の活動期に降灰が続き、客足が遠のいてしまいました。
そのためか、2012年(平成24年)に閉業を余儀なくされています。
現在は古里温泉で営業を続ける施設は2軒になっています。
現在
ふるさと観光ホテルの閉業後は、外部からの不法投棄などもあり、荒れていた時期もあったといいます。
しかし、現在のふるさと観光ホテルの建物内と周辺は片付けられています。
そして、主要な建造物はそのまま残っています。
龍神温泉は見えませんでしたが、今も海岸にたたずんでいることでしょう。
桜島という自然の驚異と共生した歴史は、利用した多くの観光客の脳裏に残っています。
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