三池港

三池港 100年先を見据え干潟に築かれた三池炭鉱の重要インフラ

三池港は、福岡県大牟田市にある重要港湾です。

三池港に停泊中の船舶

日本では珍しい閘門式ドックを持つ港となります。

三池港展望所

三池港展望所のガイド詰所

三池港を見学するなら、三池港展望所を訪れることをおススメします。

三池港展望所 入口

三池港を正面に見ることができるうえに、無料でガイドさんの説明がつきます。

三池港展望所 案内看板
開場時間9:30~17:00(最終入場 16:30)
休場日月 (祝日の場合翌日)
年末年始 12/29~1/3
場所福岡県大牟田市新港町

築港前の石炭積出

管制事業だった三池炭鉱は、三井に売却されたのち近代化が図られました。

三池港展望所

当時、石炭は上海などに輸出されています。

築港前の三池港 三池港物流株式会社~三池港の歴史
築港前の三池港 三池港物流株式会社~三池港の歴史

ところが、 有明海は遠浅なうえ、干満差が 5.5mと大きく、大型船が入港できる港はありませんでした。

石炭を運搬する小型帆船 三池港物流株式会社~三池港の歴史
石炭を運搬する小型帆船 三池港物流株式会社~三池港の歴史

そのため、小型運搬船で島原半島南端の口之津港(南島原市)まで70kmを丸1日かけて運び、人力で大型船に積み替えることになります。

三池港 湾渠内を航行するタグボート

船積みには大変な時間と人力が必要でした。

三池港 入港するタグボート

管制時代から三池港築港の話はありましたが、膨大な費用がかかるため実現していませんでした。

三池港 入港するタグボート

團琢磨

團琢磨之像

工部省の官僚であった團琢磨(だんたくま)は、三井側の強い要請により三池炭鉱とともに三井へ転籍しています。

世界遺産 三池港来訪記念

三池港の築港に重要な役割を果たすことになります。

三池港を出港する貨物船

三井商店の理事会が築港を承認したのは、團琢磨の以下の発言からだったといわれています。

「石炭山の永久などということはありはせぬ。

築港をやれば そこに産業を興すことができる。

築港をしておけば、いくらか100年の基礎になる。」

三池港は、三井三池炭鉱閉山後も、ほぼ当時のまま現役稼働しています。

三池港を出港する貨物船

まさに100年先を見据えた大事業であったことがわかります。

三池港 閘門前で待機する貨物船

閘門

竣工当時の三池港閘門
竣工当時の三池港閘門

1902年(明治38年)に着工した三池港は、1908年(明治41年)に竣工しています。

三池港 現在の閘門
現在の閘門

三池港には、干潮時でもドック内の水位が8.5m以上になるように閘門(こうもん)が設置されています。

三池港の閘門を通過する貨物船

これにより、1万トン級の船が入港できるようになっています。

三池港の閘門を通過する貨物船

大潮の干潮時など、閘門が閉じている間は入出航できません。

三池港を出港する貨物船

しかし、停泊することは可能です。

ハミングバード

三池港 地図

干潟に造られた三池港は独特の形状をしています。

三池港 ハミングバード

まるでハチドリのような形をしているため、ハミングバードといわれています。

三池鉱の閘門前で待機するタグボート

開門時の閘門部分の幅はたった20mしかなく、入出港コースも限られています。

三池鉱の閘門を通過するタグボート

大型船の操舵には気を使うといわれています。

大金剛丸 三池港築港時から使われる石炭動力の浮クレーン
大金剛丸 三池港築港時から使われる石炭動力の浮クレーン
大金剛丸
大金剛丸は立入禁止区域に停泊していました

光の航路

三池港では、入出航路上の延長線上に 夕日が沈む時期が、年に2回あります。

11月と1月なのですが、 その日数はわずか10日程度といわれます。

福岡のニュース~毎年1月と11月のみ、大牟田市、世界遺産の三池港から見える絶景「光の航路」
福岡のニュース~毎年1月と11月のみ、大牟田市、世界遺産の三池港から見える絶景「光の航路」

もちろん、天候が良くないと見ることができないので、レア現象といえます。

この間は、1番岸壁が特別に開放されますが、三池港展望所の駐車場は超混雑します。

三池港

旧長崎税関三池税関支署

旧長崎税関三池税関支署

三池港の開港とともに、長崎税関の支署が置かれました。

旧長崎税関三池税関支署

1905年(明治38年)には、坑内鉄道も三池港まで延伸され、三池炭鉱の物流網が完成しています。

三池税関支署

見学の際には、こちらもガイドさんが説明してくれます。

旧長崎税関三池税関支署 内部の照明
開場時間9:30~17:00(最終入場16:30)
休場日月 (祝日の場合翌日)
年末年始 12/29~1/3
場所福岡県大牟田市新港町

三井倶楽部

三井倶楽部

三井倶楽部は、 三池港開港に向けて合わせて建てられた洋館です。

三井倶楽部

三池港に入港する大型船の船員の、慰安のための休憩所でした。

三井倶楽部 玄関

現在は結婚式場やレストランとして使われています。

場所福岡県大牟田市西港町2丁目6

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