永吉(ながよし)ダムは、鹿児島県日置市吹上町にあるダムです。
渇水期の農地かんがいと、洪水期の農地防災を目的としたダムになります。
傾斜コア型ロックフィルダム
永吉ダムはロックフィルダムです。
コア部分で表面を遮水する傾斜コア型ロックフィルダムといいます。
傾斜遮水壁型ロックフィルダムともよばれます。
ロックフィルダムのスタンダード型は、センターコア型です。
基礎岩盤から垂直に遮水壁をつくり、堤体を土砂や岩で盛り立てます。
中央土質遮水壁型ともよばれています。
重心が真ん中にあるので安定するため、大多数のロックフィルダムがセンターコア型で建設されます。
対して、傾斜コア型ロックフィルダムは、基礎岩盤からコア部分を斜めに盛ります。
下流部を土砂や岩で盛り立てています。
地形的理由で検討されることがありますが、実際に建設されたケースは多くありません。
永吉ダムは、そのレアケースです。
ダム本体
堤頂部
堤頂部は車で通行できます。
曲線になっているのも永吉ダム独特です。
堤体
上流部はロック材が使われているのがわかります。
下流部の表層には岩でなく、一部コンクリートが使われています。
越流部
非常用洪水吐の越流部です。
普段は越流部のダム湖側は釣りポイントとしてよさそうですが、立入禁止になっています。
導流部
洪水時に導流する水路です。
ダム管理所
普段は無人です。
残念ながら、現時点(2020年)でダムカードもないようです。
バス釣り
堤体付近は立入禁止になっています。
ダム湖には永吉ダム大橋がかかっています。
上流に行くとダム湖に降りるところがあり、釣りも楽しめるようです。
ボートが使えます。
北岸がおかっぱりポイントです。
西郷隆盛御座石
永吉ダムの下流地域の集落を坊野地区といいます。
坊野地区には、かつて西郷隆盛がウサギ狩りをしに、よく訪れていたといいます。
坊野地区では、西郷どんにまつわる逸話が語り継がれています。
永吉ダムのすぐ下流にあるのが、西郷隆御座石です。
狩りの合間にこの石に腰掛けて、住人に東京や鹿児島の話をよくしていたといわれます。
諸元
名称 | 永吉ダム |
場所 | 鹿児島県日置市吹上町永吉 |
水系 | 永吉川 |
河川 | 二俣川 |
型式 | ロックフィル |
事業者 | 鹿児島県 |
施行者 | 西松建設 |
ダム湖 | 永吉ダム調整池 |
目的 | 洪水調節/かんがい用水 |
最高出力 (発電) | - |
堤高 | 37.0m |
堤頂長 | 148.0m |
堤体積 | 221千㎥ |
流域面積 | 8㎢ |
湛水面積 | 9ha |
総貯水容量 | 1,174千㎥ |
有効貯水容量 | 996千㎥ |
着手/竣工 | 1970/1979 |
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