菅原小学校は、かつて鹿児島県鹿屋市天神町にあった公立小学校です。
閉校後は、ユクサおおすみ海の学校としてリノベーションしています。
ユクサおおすみ海の学校
ユクサおおすみ海の学校は、公民連携の地域活性化プロジェクトです。
このプロジェクトにより菅原小学校は、校内全体が閉校を活用する観光施設へ変貌しています。
だからといって、古民家再生のように大規模改築は行われていません。
訪れた人が小学生のように純粋に思い出づくりができるようにというのがコンセプトです。
そのため、小学校であった歴史を尊重し、あえて学校の雰囲気を残してあります。
確かに見た目はほぼ、小学校のままです。
しかし、錦江湾を一望するロケーションやツリーハウスが、リゾート感を醸し出しています。
キャパシティーは 116名で、少人数の利用から団体での利用を想定しています。
1泊大人3,500円からの滞在体験型宿泊施設となります。
また商業テナントが入り、観光立寄り所の想定もしているようです。
宿泊予約
ご予約はこちらからどうぞ。
部屋名が「校長室」「職員室」「○年○組」と小学校時代のままになっています。
公式サイトはこちらです。
【公式】ユクサおおすみ海の学校 | 学校に泊まる体験型宿泊施設
映画「チェスト」のロケ地
菅原小学校は、2008年の全国公開された映画「チェスト」のロケ地として知られています。
作中では「清水原小学校」となっていました。
もともとは鹿児島市立松原小学校が実施している、「錦江湾横断遠泳大会」が題材です。
そのため、当初は鹿児島市を中心にロケが行われる予定でした。
ところが、雑賀俊郎監督が鹿屋市を訪れた際、その美しさに一目ぼれし鹿屋ロケが決まったといわれています。
主人公の隼人は、やんちゃで正義感の強い生粋の確摩っ子なのですが、唯一みんなにカナズチであることを隠していました。
遠泳大会の日は仮病を使って乗り切っていました。
小学校最後の夏、あこがれの奈津子先生の誘いを断れず大会に参加することになります。
そこで、無口な転校生と過敏性症候群に悩むクラスメイトをとともに、秘密の特訓を開始します。
子供たちの葛藤や友情を描いた感動の成長物語です。
「チェスト」というのは、薩摩方言の掛け声です。
薩摩藩を中心に伝わった示現流という古流剣術で、薩摩藩士が気合を入れるときに叫んでいたといわれています。
荒平天神
菅原小学校があるのは天神町です。由来は「荒平天神」です。
荒平天神の正式名称は菅原神社です。
全国にある菅原道真公をまつる菅原天満宮のひとつで、地区名の天神町もこれに由来しています。
通常は、校区名または地区名+小学校という名称が多いのですが、菅原小学校は荒平天神の正式社名を校名にしたものと考えられます。
まあどこの地区でも、菅原天満宮は「天神さん」と通称でよぶ場合が多いようです。
校内
訪れた日は、あいにく天気があまり良くありませんでした。
晴れていれば、美しいロケーションが広がっていたはずです。
雨にもかかわらず、校庭では地域のみなさんが、グランドゴルフを楽しんでいらっしゃいます。
荒平天神は通常は無人の神社です。
荒平天神の御守りやお札は、ユクサおおすみ海の学校の受付で販売しています。
菅原小学校は、鹿児島県道68号鹿屋吾平佐多線沿いにありました。
並行して走っていたのは国鉄大隅線です。
荒平駅跡まで、鹿屋市道フィットネスパース、通称サンロード鹿屋が続いています。
フィットネスパースというは、大隅線跡を利用した自転車歩行者専用道路のことです。
市道として使われていない区間は、原野に戻っています。
校舎は、1976年(昭和51年)に建てられたものです。
観光施設としての成功を、陰ながら応援しています。
沿革
1892年(明治25年) 白水尋常小学校として創立
2007年(平成19年) 映画「チェスト」撮影
2013年(平成25年) 鹿屋市立花岡小学校へ統合、閉校
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