竹屋(たかや)神社は、鹿児島県南さつま市加世田にある神社です。

この地域に語り継がれる神話と深く結びついています。
笠狭宮跡
竹屋神社の社地は、かつての笠狭宮(かささのみや)です。

吾田から上陸した瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が、居宮としていました。

笠狭宮へ、木花開耶姫(このはなさくやひめ)を迎え、三皇子が生まれます。
- 火照命(ほでりのみこと)
- 火須勢理命(ほすせりのみこと)
- 彦火々出見命(ひこほほでみのみこと)
三皇子が成長されたのも、笠狭宮です。

後に、川内の河愛山陵(えのみささぎ)へ移られています。
河愛山陵(えのみささぎ)は新田神社の奥になります。
創建は竹屋ヶ尾
竹屋神社は、もともとは「竹屋ヶ尾」という山のふもとで創建しています。

かつては鷹屋大明神とよんでいました。

竹屋と書いて「たかや」と読むのは、この両方が由来と考えられます。

平安時代の末期には、笠狭宮跡へ遷座しています。

へら竹山
竹屋ヶ尾には、木花開耶姫(このはなさくやひめ)が三皇子を出産し産湯で清めた「無戸室(うつむろ)」がありました。

その際、竹のへらでへその緒を切られたといいます。

その竹へらが根付き竹林となったため、竹屋ヶ尾とよぶようになったといわれています。

この竹林を「へら竹山」といいます。

竹屋神社の境内にも、このへら竹山の竹を株分けしたものが植えられています。
境内

彦火々出見命(ひこほほでみのみこと)と豊玉姫命(とよたまひめのみこと)、夫婦神をまつる神社になります。
境内で最も古い灯籠

参道に入り間もなく現れる石灯籠は、1692年のものです。

境内で最も古く、「元禄五年壬申歳八月吉日」と彫られています。

他の石造物も、近代のものではありません。

こちらの手水鉢は、1842年(天保13年)製です。

こちらの燈篭は、1845年(弘化2年)製です。
焼酎の神さま

上り旗に焼酎が多いのは、「焼酎の神さま」とされているためです。

主祭神の母君、木花開耶姫(このはなさくやひめ)はお酒の神さまでした。

主祭神の夫婦神は、なかでも焼酎の神さまとされています。
小柄ながら大口を持つ狛犬
竹屋神社の狛犬には特徴があります。

小ぶりで愛嬌があります。

阿形は何かくわえています。

吽形も口が開いてますが、何もくわえていません。

身なりは小ぶりですが、口だけは大型です。
手水

手水鉢も左右対になっています。

豊玉姫が海神なので、海にまつわる生物がお神使いのようです。
社殿

拝殿に、社地の案内図と社殿の配置図が掲げられています。

もともとの御陵跡に神社を遷座しています。

一帯は古代からの聖地であったと考えられます。

中央が本殿で、「中央本宮」といいます。

ご利益
神話の中では、彦火々出見命(ひこほほでみのみこと)は山彦幸、火照命(ほでりのみこと)は山彦幸です。

また主祭神は、夫婦神となります。

山の神、海の神、農業の神、酒造の神、夫婦神がお揃いです。
- 五穀豊穣
- 心願達成
- 商売繁盛
- 開運厄除
- 縁結び
- 子宝安産
- 航海安全
- 農業漁業守護
- 酒焼酎繁栄
摂末社
門守神社
参道の両脇にあった門守神社(かどもりじんじゃ)は、いずれも基礎が残っているものの、社殿はありません。

本宮に合祀されています。

門守神社は、豊玉姫命の父君・豊玉彦命の随身である善進王(ぜんしんおう)をまつります。
海彦幸をまつる西宮
本殿の向って左側が西宮です。

彦火々出見命(ひこほほでみのみこと)の兄君・火照命(ほでりのみこと)をまつります。
海神をまつる綿津見宮
綿津見宮(わだつみのみや)は、西宮のさらに西側にある摂社です。

豊玉姫命の父君・豊玉彦命(とよたまひこのみこと)をまつります。

神話でいう海の神さまです。

社殿はなく宮跡が残されています。
ど根性アコウの木
綿津見宮には、2019年(平成31年)にアコウの木が植えられています。

「ど根性アコウの木」というのは、枕崎市の漁協ビルの屋上で、雨どいに根を通して自生していたアコウの木のことです。

植えられたのは、漁協ビル解体されたため、差し木して代を継いだ子孫です。

8ヶ所にアコウの木を植え継いだようです。

竹屋神社は第8祈願スポットになっています。
火須勢理命をまつる東宮
東宮は、本殿の向って右となりの摂社です。

彦火々出見命(ひこほほでみのみこと)の兄君・火須勢理命(ほすせりのみこと)をまつります。
お伊勢さま
東宮のさらに東となりの祠は、お伊勢さまです。

言わずと知れた、伊勢神宮のご分霊です。
古代人の聖地・磐境

磐境(いわさか)というのは、境内の一番奥にある岩のことです。

竹屋神社の主祭神・彦火々出見(ひこほほでみのみこと)の御陵といわれています。

古来の神道のご神体となっていた岩です。

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