内之浦宇宙観測所は、鹿児島県肝属郡肝付町にあるJAXA の宇宙観測施設、ロケット打ち上げ施設です。
1963年(昭和38年)の開所以来、約400機のロケットを打ち上げています。
ロケット発射場
内之浦宇宙観測所は、種子島宇宙センターとともに日本の主力ロケットを打ち上げる発射場となっています。
種子島宇宙センターでは、液体燃料を使用するロケットが打ち上げられています。
一方、内之浦宇宙観測所では固体燃料ロケットが打ち上げられます。
JAXA というのは、宇宙航空研究開発機構のことです。
日本の宇宙開発政策を担う国立研究開発法人です。
歴史
もともとは、文部省宇宙科学研究所(ISAS)の施設で、1963年(昭和38年)に開所しています。
日本独自開発のロケットを打ち上げ、宇宙観測や技術試験を行ってきました。
多くの観測衛星や探索機を打ち上げ追尾・管制を行っています。
施設見学
JAXA では広報活動の一環として、各施設を見学できるようにしてあります。
施設の主目的は宇宙観測なので、テーマパーク的な要素はあまりありません。
一般の方も、車で観測所内に入り、無料で施設を見ることができます。
宇宙に興味がある方はとても楽しめます。
あまり興味がない方でも、大自然の美しい景観に中につくられた最先端施設は、見るだけの価値があると思います。
1.観測所入場口
観測所へ入退場するゲートが設置されています。
まずは、ここで受付すると入場許可証を渡されます。
見学時間 | 8:30~16:30 |
休み | 原則年中無休 日によって入場できない施設もあります |
Web | 【公式】内之浦宇宙空間観測所 |
2.宇宙科学資料館
受付けのすぐ横にある建物です。
宇宙に関するさまざまな展示物を見ることができます。
最初に玄関を見たときは、「小さな建物!」という印象でした。
建物の中はすごいボリュームの展示があります。
資料館を出てから建物を見直すと、橋の下のサイズがおおきな建物でした。
3.記念碑
ゲートを入場するとまず遭遇する記念碑群です。
人工衛星「おおすみ」打ち上げ記念碑
「おおすみ」というのは、1970年に打ち上げられた日本初の人工衛星です。
内之浦宇宙観測所のある、大隅半島にちなんで名づけられています。
糸川英雄先生像
「日本の宇宙開発の父」とよばれる、宇宙工学の第一人者です。
内之浦をロケット発射場として選んだのも糸川英雄先生でした。
4.KS センター
KS センターというのは、観測ロケット打ち上げ場です。
ロケットを発射するときは、ドーム型の建物の天井が開きます。
これまで数々のロケットを打ち上げてきました。
S-520型ロケット
小型ロケットですが、1段式ロケットとしては最大のものです。
Sは1段式のシングル、520は直径から名付けられています。
M3-S型ロケット
ミューロケットの4世代目のロケットです。
1980年代に次々と人口衛星を軌道に乗せています。
5.電子計算機室
コントロールセンターとか、KS発射管制室とも表記されています。
KS センターから打ち上げるロケットの発射管制をします。
6.衛星追跡センター
テレメーターセンターとも表記されています。
直径34mのおおきなパラボラアンテナが目印です。
大きなアンテナがいくつもあるのは、科学衛星や探査機と通信するためのもです。
7.希望ヶ丘展望台
内之浦宇宙観測所を見渡す高台にあります。
20mアンテナが設置されていて、主に地球周回軌道の科学衛星と通信しています。
各施設を見下ろす形でながめる展望所になっています。
展望台の東側の展望所
希望ヶ丘展望台に登る途中の分岐を進むと、さらに海側から観測所を見る展望所があります。
この施設がある丘です。
手前のススキも視界に入りますが、希望が丘展望台とはまた違ったアングルです。
8.ミューセンター
ミューロケットの発射装置です。
最近はイプシロンロケットの発射装置になっています。
タワー型の建物は整備塔です。
発射時は整備塔からランチャがせり出します。
L3-H型ロケット
人工衛星「おおすみ」を打ち上げた、「ラムダロケット」です。
M-Vロケット
固体燃料ロケットとしては世界最大級といわれる「ミューロケット」です。
9.レーダーテレメーターセンター
発射されたイプシロンロケットを追跡して、姿勢制御をする施設です。
直径11メートルのパラボラアンテナと、7メートルのレーダーのある施設です。
※ 施設敷地には見学による入場はできません。
10.イプシロン管制センター
ミューセンターから打ち上げられる、イプシロンロケットの制御をする施設です。
※ 見学による入場はできません。
11.宙の家
内之浦宇宙観測所の中には、商業施設がありません。
グッズなどのお土産は、正門前の売店「宙の家」で買います。
ここでないと売っていない、オリジナリティの高い商品がそろっています。
12.宮原ロケット見学場
ロケットを打ち上げる際、一般の方が見学するためつくられた施設です。
「IHIスペースポート内之浦」ともよぶようです。
飲み物の自動販売機がオリジナルプリントです。
ミューセンターが見えます。
反対側は、大隅半島のもっと南側が見渡せます。
まとめ
内之浦といえば、50年前からロケットの町というイメージがありました。
同時に、鹿児島県のなかでもとにかく遠いイメージを持っていました。
今では国見トンネルが開通し、鹿屋市や志布志市から約1時間で着きます。
想像していたよりも難所もなく、快走ルートで訪れることができるおススメスポットです。
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