加紫久利(かしくり)神社は、鹿児島県出水市にある神社です。
薩摩国の式内神社に名を連ねる古社で、明治時代までは広大な社地を有した薩摩国二の宮です。
ご祭神・ご利益
主祭神
天照大神(あまてらすおおのかみ)
「光明」「仁愛」「生命」「救済」「幸せ」の大親神です。
相殿神
比売大神
宗像大社のご祭神・交通安全の神さまです。
八幡大神
宇佐神宮のご祭神・安産・子育ての神さまです。
住吉大神
住吉大社のご祭神・航海・交通安全の神さまです。
伊邪那岐・伊邪那美
生命の祖神・延命長寿の神さまです。
薩摩国二の宮
創始年代は不詳です。
702年、薩摩建国と同時に肥後国境警備の任を与えられた加志君氏が、出身地である豊前・大富神社の祭神を奉祀したといわれています。
延喜式神名帳では、薩摩国の神社として名を連ねるのは、枚聞神社と加紫久利神社のただ2社のみでした。
延喜式神名帳というのは、927年にまとめられた全国の官社リストです。
そのため、薩摩国の二の宮ともいわれています。
西南戦争による焼失
薩摩国建国にゆかりがある神社であることから、廃藩置県までは領主・島津氏に大切にされてきました。
ところが、1877年(明治10年) 西南戦争により全焼し、社殿どころか歴代の書物や宝物まで失っています。
1880年(明治13年)に再興されましたが、かつての社地は小さくなってしまいました。
鶴亀神社
一の鳥居の上にはツルがとまっています。
参道脇で出迎えるのはカメです。
境内のいたるところに、ツルとカメがいます。
出水市は昔からツルの飛来地であり、「ツルの里 いずみ」というのがキャッチフレーズです。
加紫久利神社は、別名、鶴亀神社とよばれることもあります。
大蛇藤
二の鳥居の前には、大蛇藤が植えられています。
生命力が強く幸運をよびませます。
ヘビは縁起の良い、お神使いとされます。
見頃は4月下旬から5月上旬です。
手水の水は湧水
手水舎の水は、加紫久利山山麓の湧水です。
神水といい、そのまま飲めます。
茅の輪くぐり
鳥居の下に茅の輪くぐりが、置かれていました。
① 左回り②右回り③左回り
と8の字を書くようにくぐります。
最近の罪や穢れを消すといわれています。
神門のツルは金銀のツルです。
社殿
社殿です。
御神馬は銀馬です。
出水川石灯籠
出水川というのは、江戸時代の力士です。
出水出身の力士で、関脇・小結で大活躍していました。
ところが、ライバルの達ヶ関だけにはどうしても勝てずにいました。
地元に帰った時、加柴久利神社にお参りしたところ、念願の達ヶ関から白星をあげることができました。
お礼に寄進した石灯籠です。
羅漢さん
かわいらしい五十羅漢像です。
羅漢さんというのは、仏教で悟りを開いたものの尊称です。
病気平癒や健康増進を授ける力を持っています。
旧社殿の瓦
1877年(明治 10 年)西南戦争で戦火にかかるまで、社殿に乗っていた瓦です。
子供と安産の神
安産と子供の病気回復の神さまです。
祈願の際には、お供えしてある祈石をひとつ持ち帰ります。
お礼参りの時はふたつお供えするとよいそうです。
開運桜 大蛇しだれ
大蛇が宿ったといわれるしだれ桜です。
稲荷神社
摂末社の稲荷神社は、猿田彦大神をまつります。
道案内、交通安全の神さまです。
野間の関
加紫久利神社から北へ1kmの位置に「 野間の関」があります。
かつては、薩摩国第一級の関所であったといわれています。
独自の封建態勢を築いていた薩摩国は、入国を厳しく管理していました。
薩摩国の表玄関として、米ノ津に武士を常駐させ、人々の出入国を厳しく監視していたそうです。
出水に広大な武家屋敷群が残るのも、薩摩国を護るために米ノ津を重視していたことがわかります。
野間の関
米ノ津駅
加紫神社の最寄り駅は米ノ津駅です。
かつては、JR九州の鹿児島本線の駅でした。
九州新幹線開業後は、第三セクター肥薩おれんじ鉄道の駅となっています。
米ノ津駅
まとめ
ツルの里いずみの加紫久利神社は、薩摩国にゆかり が深い神社でした。
社地は小さくなったとはいえ、境内の諸所に歴史を感じさせる構造物が残っています。
薩摩国二の宮として、末永く語り継がれることと思います。
加紫久利神社
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