南阿蘇鉄道というのは、熊本県の国鉄高森線を引き継ぐ3セク鉄道です。
名前からもわかるとおり、南阿蘇を横断する鉄道路線となります。
全線つながる
南阿蘇鉄道高森線は、2016年(平成28年)の熊本地震での甚大な被害を受け、全線運休していました。
程なく一部区間で運転を再開しましたが、半分以上の区間で長期運休を強いられています。
2023年(令和5年)7月15日、7年3か月ぶりに全線の営業運転が再開します。
立野駅
立野駅は南阿蘇鉄道の終着駅で、JR豊肥本線との接続駅です。
高森線開通前の1916年(大正5年)にはすでに、宮地線立野駅として開業していました。
なんと全線復旧後の南阿蘇鉄道は、JR豊肥本線・肥後大津駅までの乗入れ運転が決まっています。
旧駅舎は解体され、新駅舎と周辺の整備工事が進められていました。
場所 熊本県阿蘇郡南阿蘇村立野
長陽駅
長陽駅は南阿蘇鉄道では唯一、高森線開業当時の木造駅舎が残っています。
南阿蘇鉄道では、駅周辺と観光がうまくリンクしています。
長陽駅では土日のみとはなりますが、喫茶店「久永屋」が営業します。
加勢駅
加勢駅は、1986年(昭和61年)高森線の南阿蘇鉄道転換時にできた駅です。
南阿蘇鉄道には、観光地的デザインの駅舎や待合所がそろいますが、加勢駅だけは普通です。
坂道の途中にありスペースがなかったのか、近くに観光スポットが少なかったのか・・・
地元の利用者にとっては、利便性が向上したのは間違いありません。
阿蘇下田城ふれあい温泉駅
阿蘇下田城ふれあい温泉駅は、高森線の開業当初の阿蘇下田駅です。
現在の駅舎は、近くにあった下田城をイメージしていて、駅名通り温泉浴場を内包します。
訪れた日は施錠されていて、駅舎内を見ることはできませんでした。
構内には、あの有名な阿蘇観光ホテルにあった、縁結び石が移設されています。
南阿蘇水の生まれる里白水高原駅
なんとも長い駅名ですが、開業した1992年(平成4年)から2020年(令和2年)までは、日本一長い駅名でした。
あまりにも長いため、通常は白水高原駅と略します。
京福電鉄北野線の等持院駅が、「等持院・立命館大学衣笠キャンパス前駅」に改称したため、日本一長い駅名の座を明け渡しています。
ちなみに、2021年(令和3年)から2023年(令和5年)現在の日本一長い駅名は、富山地方鉄道の「トヨタモビリティ富山 Gスクエア五福前(五福末広町)停留場」です。
中松駅
中松駅は観光地らしい斬新なデザインながらも、駅舎内は暖かい雰囲気です。
特に、ショーケースのおもちゃが目を引きます。
1945年(昭和20年)には、停車中の列車が米軍艦載機からの機銃掃射を受け、死傷者がでるという悲しい歴史があります。
震災後の一部運転期間中の終着駅です。
阿蘇白川駅
阿蘇白川駅も観光地らしい、とんがり屋根の水色の木造駅舎です。
南阿蘇鉄道は駅舎内にカフェがあるのが定番で、阿蘇白川駅のカフェは「Café 75th st.」です。
駅前の雰囲気も、高原の観光地的オーラが漂います。
南阿蘇白川水源駅
南阿蘇白川水源駅は、2012年(平成24年)新設された現在の南阿蘇鉄道で、いちばん新しい駅です。
名前からもわかるとおり、白川水源の最寄り駅です。
駅舎はコミュニティホール兼用で、例にもれず「駅カフェ倶梨伽羅(くりから)」も同居します。
見晴台駅
見晴台駅は高森線の南阿蘇鉄道転換時に新設された、屋上からの見晴らしがよかった駅です。
現在の駅舎は、屋上がなくなった二代目です。
2016年(平成28年)に午後ティーCMで話題になった後、訪れる人が増えました。
現在も撮影用に設置された、午後の紅茶の自動販売機が置かれていました。
午後の紅茶CM
「あいたいって、あたためたいだ。16冬」篇 | Chara「やさしい気持ち」 |
「おちつけ、恋心。」篇 | aiko「カブトムシ」 |
「あいたいって、あたためたいだ。17冬」篇 | スピッツ「楓」 |
「あいたいって、あたためたいだ。18冬」篇 | HY「366日」 |
出演 | 上白石萌歌さん・井之脇海さん・白石聖さん |
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高森駅
高森駅は国鉄時代は高森線の終着駅でしたが、現在は南阿蘇鉄道の始発駅であり本拠地です。
以前は高森線を走っていたSLが駅前に置いてあるくらいで、駐車場も広々としていました。
訪れた時には全線復旧にあわせて、何やら新しく建物を新調中でした。
沿革
1928年(昭和3年) | 宮地線の支線として開業 長陽・阿蘇下田・中松・阿蘇白川・高森の各駅を新設 |
1928年(昭和3年) | 豊肥本線全通により高森線となる |
1975年(昭和50年) | 延伸中の高森トンネル坑内で異常出水事故 |
1976年(昭和51年) | 高森トンネル工事が一時中断 |
1980年(昭和55年) | 国鉄再建法成立により高千穂 – 高森間の鉄道建設凍結 |
1981年(昭和56年) | 第1次特定地方交通線として廃止承認 |
1984年(昭和59年) | 第三セクター鉄道への転換を決定 |
1986年(昭和61年) | 南阿蘇鉄道に転換、加勢・見晴台の各駅を新設 |
1992年(平成4年) | 南阿蘇水の生まれる里白水高原駅を新設 |
1993年(平成5年) | 阿蘇下田駅を阿蘇下田城ふれあい温泉駅に改称 |
2012年(平成24年) | 南阿蘇白川水源駅を新設 |
2016年(平成28年) | 熊本地震により全線運休 |
2016年(平成28年) | 高森駅~中松駅間で運転再開 |
2023年(令和5年) | 中松駅~立野駅間が運転再開し全線復旧(予定) |
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