鹿児島で造られる焼酎の原料は、サツマイモが圧倒的です。
奄美群島へ行くとサトウキビ、いわゆる黒糖焼酎が造られています。
焼酎王国鹿児島
鹿児島県は都道府県別で見た、1人当たりアルコール消費量は東京都に次いで2位となります。
その大部分が焼酎で、1人当たり焼酎消費量は1位です。
焼酎の出荷量こそ最近は宮崎県に次ぐ2位となっていますが、 焼酎蔵元数は120蔵を超え、全国1位です。
間違いなく全国トップの焼酎王国です。
大隅半島の焼酎
火山灰が降り積もった台地上の大隅半島は、水はけがよく肥料切れが良いためサツマイモの栽培が盛んでした。
当然 焼酎もはやくから製造されています。
3M とよばれる銘柄のうち、 魔王と森伊蔵は、 大隅半島で造られます。
蔵元名 | 代表銘柄 | 場所 | |
1 | 木場酒造 | 一人蔵 | 曽於市末吉町 |
2 | 岩川酒造 | おやっとさあ | 曽於市大隅町 |
3 | 大隅酒造 | 大隅 | 曽於市大隅町 |
4 | 森伊蔵酒造 | 森伊蔵 | 垂水市牛根境 |
5 | 八千代伝酒造 | 八千代伝 | 垂水市新御堂 |
6 | 太久保酒造 | 侍士の門 | 志布志市松山町 |
7 | 若潮酒造 | さつま白若潮 | 志布志市志布志町 |
8 | 丸西酒造 | むかしむかし | 志布志市有明町 |
9 | 天星酒造 | 天星醍醐 | 大崎町菱田 |
10 | 新平酒造 | 大金の露 | 大崎町横瀬 |
11 | 大海酒造 | さつま大海 | 鹿屋市白崎町 |
12 | 神川酒造 | 照葉樹林 | 鹿屋市永野田町 |
13 | 小鹿酒造 | 小鹿 | 鹿屋市吾平町 |
14 | 白玉醸造 | 白玉の露 | 錦江町城元 |
姶良・伊佐の焼酎
伊佐地域は鹿児島の北海道? といわれるほど、涼しい地域です。
姶良地区も霧島連山を擁する高原が広がります。
第1次焼酎ブームで、 プレミアム焼酎となった伊佐美も、 姶良・伊佐地域で造られています。
蔵元名 | 代表銘柄 | 場所 | |
1 | 甲斐商店 | 伊佐美 | 伊佐市大口 |
2 | 大口酒造 | 黒伊佐錦 | 伊佐市大口 |
3 | 大山酒造 | 伊佐大泉 | 伊佐市菱刈 |
4 | アットスター | 蘭 | 霧島市横川町 |
5 | 佐藤商店 | さつま | 霧島市牧園町 |
6 | 霧島町蒸溜所 | 明るい農村 | 霧島市霧島田口 |
7 | 万膳酒造 | 萬膳 | 霧島市霧島永水 |
8 | 国分酒造 | さつま国分 | 霧島市国分川原 |
9 | 中村酒造場 | 玉露 | 霧島市国分湊 |
10 | きりしま高原麦酒 | 麹屋物語 | 霧島市溝辺町 |
11 | 日當山醸造 | アサヒ | 霧島市隼人町 |
12 | 白金酒造 | 白金乃露 | 姶良市脇元 |
北薩の焼酎
薩摩半島の北部は、3Mのひとつ村尾の産地です。
長島では赤土サツマイモから島美人を生んでいます。
蔵元名 | 代表銘柄 | 場所 | |
1 | 小牧醸造 | 小牧 | さつま町時吉 |
2 | 軸屋酒造 | 紫尾の露 | さつま町平川 |
3 | 植園酒造 | 園乃露 | さつま町平川 |
4 | 神酒造 | 千鶴 | 出水市高尾野町 |
5 | 長島研醸 | さつま島美人 | 長島町平尾 |
6 | 鹿児島酒造 | さつま諸白 | 阿久根市栄町 |
7 | 大石酒造 | 鶴見 | 阿久根市波留 |
8 | 祁答院蒸溜所 | 野海棠 | 薩摩川内市祁答院町 |
9 | 田苑酒造 | 田苑 | 薩摩川内市樋脇町 |
10 | オガタマ酒造 | 鉄幹 | 薩摩川内市永利町 |
11 | 山元酒造 | 蔵の神 | 薩摩川内市五代町 |
12 | 村尾酒造 | 薩摩茶屋 | 薩摩川内市陽成町 |
13 | 塩田酒造 | 六代目百合 | 薩摩川内市里町 |
14 | 吉永酒造 | 五郎 | 薩摩川内市下甑町 |
中薩の焼酎
鹿児島市に本社を置く本坊酒造は、焼酎のみならずワインやウイスキーまで手掛ける、一大酒造メーカーになっています。
一方家族的な蔵もあり、大小の蔵がそろい踏みしています。
蔵元名 | 代表銘柄 | 場所 | |
1 | 相良酒造 | 相良 | 鹿児島市柳町 |
2 | 東酒造 | 七窪 | 鹿児島市小松原1丁目 |
3 | 本坊酒造 | あらわざ桜島 | 鹿児島市南栄3丁目 |
4 | さつま無双 | さつま無双 | 鹿児島市七ツ島1丁目 |
5 | 濵田酒造 | 海童 | いちき串木野市西薩町 |
6 | 若松酒造 | 薩摩一 | いちき串木野市湊町1丁目 |
7 | 大和桜酒造 | 大和桜 | いちき串木野市湊町3丁目 |
8 | 焼酎蔵薩州濵田屋伝兵衛 | 黄麹仕込 伝 | いちき串木野市湊町4丁目 |
9 | 白石酒造 | 天狗桜 | いちき串木野市湊町1丁目 |
10 | 松崎酒造 | 大黒 | いちき串木野市大里 |
11 | 小正醸造 | さつま小鶴 | 日置市日吉町 |
12 | 西酒造 | 薩摩宝山 | 日置市吹上町 |
13 | 原口酒造 | 西海の薫 | 日置市吹上町 |
南薩の焼酎
南薩は、コガネセンガンから全国展開するさつま白波を生んでいます。
温暖な気候で育つサツマイモを使った焼酎産地です。
蔵元名 | 代表銘柄 | 場所 | |
1 | 中俣酒造 | 薩摩桐野 | 指宿市西方 |
2 | 大山甚七商店 | 薩摩の誉 黒麹 | 指宿市西方 |
3 | 吉永酒造 | 利八 | 指宿市高之原 |
4 | 田村合名会社 | 薩摩乃薫 純黒 | 指宿市山川 |
5 | 白露酒造 | 白露 | 指宿市山川 |
6 | 指宿酒造 | 利右衛門 | 指宿市池田 |
7 | 尾込商店 | さつま寿 | 南九州市川辺町 |
8 | 高良酒造 | 八幡 | 南九州市川辺町 |
9 | 知覧醸造 | 知覧武家屋敷 | 南九州市知覧町 |
10 | 佐多宗二商店 | 角玉 | 南九州市頴娃町 |
11 | 櫻井酒造 | 金峰櫻井 | 南さつま市金峰町 |
12 | 宇都酒造 | 天文館 | 南さつま市加世田益山 |
13 | 吹上焼酎 | 小松帯刀 | 南さつま市加世田宮原 |
14 | 萬世酒造 | 萬世 | 南さつま市加世田高橋 |
15 | 杜氏の里笠沙 | 一どん | 南さつま市笠沙町 |
16 | 薩摩酒造 | さつま白波 | 枕崎市立上本町 |
種子島・屋久島の焼酎
種子島・屋久島は、サツマイモ栽培の歴史は本土より長く、同じ品種でも強い日差しの下で力強く育ちます。
島内でしか造らない「種子島ゴールド」などレア品種も焼酎造りに使われます。
豊かな降水は大自然でろ過され、良質な湧水も豊富で、島ならではのプレミアムな焼酎を生みます。
蔵元名 | 代表銘柄 | 島名 | 場所 | |
1 | 種子島酒造 | 久耀 | 種子島 | 西之表市 |
2 | 高崎酒造 | しま甘露 | 種子島 | 西之表市 |
3 | 四元酒造 | 島乃泉 | 種子島 | 中種子町 |
4 | 上妻酒造 | 南泉 | 種子島 | 南種子町 |
5 | 三岳酒造 | 三岳 | 屋久島 | 屋久島町 |
奄美大島・喜界島の焼酎
国内で唯一、黒糖から焼酎を造ることが許されるのが奄美群島です。
黒糖が原料なのに糖質0で、焼酎独特の臭みが少なく、血栓を溶かす効能が赤ワインの2倍という驚愕のデータもある黒糖焼酎に注目してみました。
蔵元名 | 代表銘柄 | 島名 | 場所 | |
1 | 喜界島酒造 | 喜界島 | 喜界島 | 喜界町 |
2 | 朝日酒造 | 朝日 | 喜界島 | 喜界町 |
3 | 奄美大島酒造 | じょうご | 奄美大島 | 龍郷町 |
4 | 山田酒造 | 長雲 | 奄美大島 | 龍郷町 |
5 | 町田酒造 | 里の曙 | 奄美大島 | 龍郷町 |
6 | 渡酒造 | あまみ六調 | 奄美大島 | 奄美市 |
7 | 弥生焼酎醸造所 | 彌生 | 奄美大島 | 奄美市 |
8 | 富田酒造場 | 龍宮 | 奄美大島 | 奄美市 |
9 | 西平酒造 | 珊瑚 | 奄美大島 | 奄美市 |
10 | 西平本家 | せえごれ | 奄美大島 | 奄美市 |
11 | 奄美大島開運酒造 | れんと | 奄美大島 | 宇検村 |
徳之島・沖永良部島・与論島の焼酎
徳之島・沖永良部島・与論島は奄美群島の一部で、鹿児島県再南西端の地域です。
地理的には沖縄に近いのですが、現在は全蔵とも黒糖焼酎の生産者です。
鹿児島県酒造組合/松永酒造場
蔵元名 | 代表銘柄 | 島名 | 場所 | |
1 | 奄美酒類 | 奄美 | 徳之島 | 徳之島町 |
2 | 奄美大島にしかわ酒造 | 島のナポレオン | 徳之島 | 徳之島町 |
3 | 松永酒造場 | マルシカ | 徳之島 | 伊仙町 |
4 | 沖永良部酒造 | 稲乃露 | 沖永良部島 | 和泊町 |
5 | 新納酒造 | 天下一 | 沖永良部島 | 知名町 |
6 | 原田酒造 | 昇龍 | 沖永良部島 | 知名町 |
7 | 有村酒造 | 島有泉 | 与論島 | 与論町 |
麹による違い
黒麹
黒はクエン酸を含んでいるので、雑菌を抑えることができます。
従来高温多湿な九州では、黒麹が使われてきました。
黒麹仕込みの焼酎は、どっしりとした重めの味わいになるとされています。
白麹
白麹は、もともと黒麹だったものが変異して白くなったものです。
大正時代から九州で使われるようになりました。
マイルドで軽快な味わいにあるのが特徴です。
黄麺
黄麹はもともと日本酒の仕込みに使われていた麹です。
クエン酸を含まないので、雑菌に弱く寒い地域で使われていました。
冷蔵技術の発達に伴い、 九州南部での焼酎造りにも使われるようになりました。
フルーティーな香りと味わいに仕上がるのが特徴です。
醸造方法による違い
常圧蒸温
水の温度が100℃の状態、つまり大気圧下でもろみを沸騰させアルコールを抽出する方法です。
独特の香りと深い味わいがある、昔ながらの製法です。
昔からの焼酎ファンに根強い人気があるほか、複雑な味わいを好む若い人にもファンがいます。
減圧蒸留
蒸溜機の空気をポンプで吸い出し、 気圧を下げて蒸溜します。
沸点が下がり、焼酎の風味そのままに、 さわやかで軽快な味わいとなります。
全国に焼酎ブームが広がった時には、 減圧蒸留の焼酎が火付け役でした。
原料による違い
鹿児島のイモ焼酎は、9割がコガネセンガンを原料としています。
収量が多く、バランスの良い焼酎ができあがるためです。
原料となるイモの中身の色でおおまかに分類してみます。
白系
白色のサツマイモは、デンプンを多く含み主に加工用として使われます。
焼酎のほかデンプンや甘味料、春雨の原料として用いられます。
コガネセンガン
作付け面積ナンバーワンの主力品種。食感が良いので、 青果でも流通します。
イモの香りと甘みのバランスが良い焼酎ができあがります。
ジョイホワイト
焼酎専用に改良された品種で、食用には適しません。
焼酎はまろやかなのどごしとフルーティーな香りが特徴です。
シロサツマ
収穫後も傷みにくく、焼酎の原料としても使われます。
ほのかなイモの香りと甘みのバランスがとれた焼酎になります。
シロユタカ
耐病性がありコガネセンガンよりさらにデンプンを多く含むため、デンプンの原料として栽培されます。
焼酎にすると、ミルクのような甘さを味わえます。
赤系
皮が赤いイモは糖度が高く、食用やお菓子用として使われます。
焼酎の原料にすると、イモ本来の甘みを感じ上品に仕上がります。
アカコガネ
柔らかくフルーティーで、ほんのり甘い上品な焼酎となります。
ベニアズマ
豊かな甘みとほくほくした食感で、食用に流通します。
焼酎にするとフルーティーでまろやかな味わいとなります。
ベニオトメ
スレンダーな形が乙女に例えられる赤系イモです。
ほんのりクリのような甘みがします。
ベニサツマ
赤系イモの代表。イモ本来の甘みで爽やかな焼酎ができあがります。
ベニハヤト
カロチンを多く含みますが、デンプン量は少ない品種です。
ほのかにニンジンのような香りがします。
ベニマサリ
アズキやクリのようなコクのある香りが特徴の焼酎となります。
橙系
橙系のイモが濃いオレンジ色なのは、ベータカロチンを多く含むためです。
甘みが強く食用のほか、スイーツの材料として使われます。
アンノウイモ
糖度が高い品種で、やきいものほかスイートポテトなどお菓子の原料となります。
やさしい香りと上品な甘さの焼酎となります。
タマアカネ
カボチャのような香りの焼酎になります。
紫系
紫色のイモの色素は、ポリフェノールの一種・アントシアニンという物質です。
健康食としても注目され、熱を加えると甘みが増す特性があります。
ヨーグルトのような甘酸っぱい香りの焼酎となります。
エイムラサキ
赤ワインのような甘酸っぱい香りの焼酎になります。
キントキイモ
熱を加えると甘みが増します。 やきいもやてんぷらにするとおいしい品種です。
キレの良いのどごしでほのかな甘みを感じられる焼酎ができあがります。
ムラサキイモ
健康食として重宝される希少品種です。
含まれるアントシアニンは、血液をサラサラにする効果があります。
甘くて華やかで上品な焼酎となります。
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