精矛神社(くわしほこじんじゃ)は、鹿児島県姶良市加治木町にある神社です。
加治木は、戦国時代の武将として名高い島津義弘公が、晩年を過ごした場所になります。
ご祭神・ご利益
ご祭神は、精矛健雄命(くわしほこいずたけをのみこと)です。
島津義弘(しまづよしひろ)公のことです。
戦国時代の薩摩国の武将であり、島津家第17代当主となります。
猛将として全国で知られ「鬼島津」の異名を持ちます。
義弘公は関ヶ原の戦いのあと、部下たちにはやく薩摩に帰るよう進言されています。
しかし、大阪城で人質にとられている妻子を取り戻すまで帰らなかったという、家族思いの一面もあります。
このため、武運長久・勝運、子孫繁栄、家内安全にご利益があるとされます。
経緯
1619年、島津義弘公逝去後、神主影が加治木の本誓寺と、伊集院の妙円寺にまつられていました。
特に、本誓寺のご霊社へは、参拝が絶えなかったといいます。
しかし、明治初期の神仏分離令や、廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)の動きにより、本誓寺が廃寺となってしまいました。
これを受けて、1869年(明治2年)に、義弘公が晩年に過ごした加治木館跡に、精矛神社が造営されています。
社名は、義弘公の神名「精矛健雄命(くわしまこいずたけをのみこと)」からつけられたものです。
1918年(大正7年)に、義弘公没後300年を記して、現在地に遷座されました。
旧社地はのちに、県立加治木高等学校と柁城(だじょう)小学校の敷地となっています。
朝鮮出兵
島津義弘公は、文禄の役と慶長の役で、朝鮮出兵に参加しています。
ここでも数々の武勲を挙げ、朝鮮兵に恐れられたといわれています。
境内には、朝鮮から持ち帰った石臼があります。
大きな石を丸くくり抜いたものが、手水鉢です。朝鮮からの戦利品かと思っていたらどうも違うようです。
舟に武器や物資を満載する往路に比べ、復路は軽くなるため船のバランスが不安定になります。
そこで、船を安定させるために、石臼などを船底に積んでいたのです。
一の鳥居の横にある、朝鮮伝来の石臼も同じ理由で持ち帰ったものです。
NHK大河ドラマ「西郷どん」ロケ地
2018年(平成30年)のNHK大河ドラマは「西郷どん」です。
鹿児島県内の各地でロケが行われました。
精子神社はオープニングシーンのロケ地です。
2017年(平成29年)に撮影が行われています。
境内を埋め尽くすほど、出演者の数がすごいです。
境内とご朱印
とても分かりやすい、手書きの境内図が貼ってあります。
広い社地を持つ由緒ある神社です。
しかし、公式サイトによると、神主さんは常駐していらっしゃいません。
したがって、普段はご朱印の頒布を行なっていません。
ご朱印をご希望の方は、年中行事の後にお願いするといいそうです。
【公式】精矛神社 ← 年中行事のご確認は公式サイトで!
義弘公ゆかりの小径
義弘公にゆかりのあるものが石碑になっています。
義弘公にまつわる石碑は、社殿から摂社の稲荷神社まで続きます。
茶器供養塔
茶器を愛した義弘公にちなみ、古い茶器を供養しています。
加治木太鼓踊り
勇猛な踊りにもいわれがあります。
龍門司焼
義弘公時代からの伝統を守る焼き物、独特の色合いが特徴です。
吉左右踊り(きそおどり)
太鼓踊りといっしょに踊られます。
猫
戦国時代は猫も役立った?
愛馬膝つき栗毛の碑
義弘公とともに戦った愛馬の碑です。
欄干橋
護国神社に移転展示してあります。
くも合戦
毎年6月第3日曜日に開催されています。
加治木まんじゅう
今は人気の郷土菓子です。
あくまき・ハチミツ
今は何気ない食品ですが~。
精矛稲荷神社
摂社の稲荷神社は、東京渋谷の玉里島津家にまつられていたお稲荷さまです。
義弘公が朝鮮出兵のさいには、このお稲荷さんに命を助けられたとかたり継がれています。
義弘公が兵庫奏の本陣「小豆屋」の泊まったさい、お稲荷さまを本陣の主人畠山家に託しました。
本陣というのは、大名や旗本向けの宿のことです。
以来、畑山家では本陣内に社を建て、手厚く尊崇し続けてきました。
しかし、明治時代になると、参勤交代もなくなり宿場街の本陣経営はきびしくなります。
本陣のご主人より、お稲荷さんを島津家にお返ししたいと申出がありました。
このため、お稲荷さんは明治以降、東京渋谷の玉里島津家に移されていました。
2019年(令和元年)、島津義弘公の没後400年を期に、お稲荷さまを義弘公の元へおかえいしたいとの申し出があり、精矛神社内へ移されたものです。
東京玉里島津家の社殿の設計図通りに、つくられています。
ご祭神
精矛稲荷神社のご祭神は、宇迦之御魂大神(うかのみたまのおおかみ)となります。
桜の名所
日豊本線の白木山神社踏切から、一直線の参道が続いています。
この参道から境内の並木はサクラです。
開花時期には、花見スポットとして訪れる人が多くなります。
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